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2月 6, 2018 by Yoshihito Aoyagi

2017年欧州新車販売台数レポート

  • ディーゼル車の販売が、前年比7.9%減の約676万台に落ち込み、シェアはこの10年で最小の43.7%に
  • ディーゼル車が減少する一方で、ガソリン車の販売が約76万台増加
  • セグメント別では、SUVの販売が前年比19.5%増の約456万台を記録

2017年の欧州自動車市場は、2007年以来最高の販売を記録した前年から3.1%増の約1,557万台と堅調な成長を見せた。イギリス市場に停滞が見られるものの、東ヨーロッパ(前年比12.7%増)や南ヨーロッパ市場(6.2%増)での好調な販売がこの成長に大きく貢献した。ただし、ディーゼル危機やBrexit等、市場にネガティブな影響を与える出来事もあり、2015年(前年比9.3%増)や2016年(前年比6.5%増)と比較すると成長はやや減速している。

また、2017年12月の販売台数は過去5年間で最も低い数字となっており、この先も欧州市場の成長が減速する可能性も考えられる。燃料別の販売台数に注目すると、ディーゼル車販売の減少傾向が2017年全体でも見られ、販売台数は前年比7.9%減の676万台(ハンガリーを除く)で、シェアは過去10年で最も低い43.7%となった。一方でガソリン車は大きな成長を見せ、前年より販売を約76万台増加させた(前年比10.9%増)。AFV(代替燃料車)については、前年比46.1%増となったもの、販売台数は約74万台でシェアは4.8%にとどまっている。

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JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「2017年の欧州市場で成長の主な要因となったのは、SUVセグメントであった。2017年のこのセグメントの販売台数は、前年の381万台から19.5%増加し456万台を記録し、マーケットシェアも前年の25.2%から29.3%に増加している。また、SUVセグメントの中でもB-SUV(サブコンパクト)、C-SUV(コンパクト)、D-SUV(ミッドサイズ)が好調な販売を見せており、それぞれ前年比34%増、21%増、17.5%増となった。このSUVの著しい成長に影響を受けているのがMPVセグメントで、2017年度の販売は前年比15.1%減となり、今世紀で最も低いマーケットシェアを記録した。」

メーカーグループ別では、VWグループがシェアを0.25%落としたものの、販売を2%増の370万台とした。販売増の主な要因はSkodaやSeatブランドのSUVセグメントの好調な販売であり、それぞれ前年比74%増、254%増と販売を増やした。一方で、Opelブランドを買収したPSAは、PeugeotやCitroenブランドが販売を増加させたものの、Opelブランドの販売が減少し、期待ほど販売を伸ばせず前年比0.7%増にとどまっている。

プレミアムブランドでは、Mercedes-Benzがリーディングブランドとなり、BMW、AUDIがそれに続いている。日系ブランドの販売に注目すると、C-HRの好調な販売があったToyotaが前年比 +13%を記録しブランド別ランキング11位。続いてNissanが +3%の13位、Suzukiが +21%の19位、Mazdaが -2% の20位、Hondaが -13%の23位、Mitsubishiが -3%の24位であった。

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モデル別では、Volkswagen Golfが前年比1%減となったものの、2017年の販売トップモデルとなった。ドイツとイギリスで台数の半分以上を販売するこのモデルは、ディーゼル危機の影響を大きく受け、ディーゼルバージョンの売上が14.6%減となっている。成長を続けるSUVセグメントでは、Nissan Qashqaiが2年連続で販売トップとなり、全体でも5位にランクインし、1万3千台差でVolkswagen Tiguanがこれに続いた。モデルランキングトップ5の中では、Renault Clioも2017年は好調で、ライバルのVolkswagen PoloやFord Fiestaが前年から販売台数を落としている中でも4%増となっている。日系ブランドでは、Nissan Qashqaiが前年比 +6%のモデル別ランキング5位、Toyota Yarisが14位(+3%)にランキングされている。

 

以上

Download file: JATO欧州市場新車販売速報_2017年.pdf