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8月 3, 2017 by Yoshihito Aoyagi

2017年上半期、6月欧州新車販売台数レポート

  • 2017年上半期の欧州新車販売は、約840万台となり2008年以降で最大の販売台数
  • 2017年6月の新車販売は、約150万台と前年同期比で1.9%増、またこの数字はこの10年で最大
  • モデル別販売台数では、VOLKSWAGEN GOLFが前年同期比で11.6%減であったが、上半期の首位となる

欧州自動車産業は、引き続き成長を見せており、2017年6月は前年同月比1.9%増の150万台を記録し、先月に引き続き、この10年間では最大の販売台数となっており、リーマンショック前である2007年6月の販売と同水準となった。同様に今年度上半期についても2007年以来最大の約840万台を記録し、前年同期比で4.3%増となっている。また、この成長は、同期間のアメリカ市場(2.1%減)や中国市場(2.6%増)といった欧州以外の主要マーケットと比較しても、高水準の成長率となっている。

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国別に注目すると、欧州5大主要マーケットのうち、ドイツ、フランス、イタリア、スペインが引き続き成長を見せている。これら4ヶ国の上半期の販売台数は、約470万台となり、前年同期比で4.7%増となった。とりわけ、ドイツでの安定した景気動向や、イタリア経済の安定、景気回復がこの成長の主要因と考えられる。

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一方で、主要マーケットの一つであるイギリスが、今年度上半期は、前年同期比で1.6%減となっている。イギリスは2011年から2016年の間で、5期連続で成長し、販売台数が約40万台増となっていた中で、今期は減少となった。これには、今年度に行われた増税や、BREXIT(ブレグジット)によるイギリス経済の不透明さが消費者の買い控えに影響を与え始めたとの見方もある。

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JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「今期の欧州市場は2007年以来の好成績となり、全体としては健全であった。特に、中央、東ヨーロッパについては、高い成長を見せており、且つ同マーケット内では、高い雇用水準を記録していることから、今後もこの傾向は続くと予想できる。市場全体では成長を続けている一方で、注目すべきは自動車市場にBREXIT(ブレグジット)の影響が出始めているイギリス市場の停滞である。BREXITが実際にどのように実行され、今後イギリスとEUとの関係が明らかになるまでは、この状況は続くだろう。」

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ブランド別で見ると、この上半期ではマーケットシェアトップのVW Groupのシェアが昨年の23.7%から、23.3%に減少している。またシェア2位のPSAが0.6%減となっている。日系ブランドの販売台数に注目すると、TOYOTAが前年同期比 +15.8%を記録しブランド別ランキング11位。続いてNISSANが +5.4% (13位)、SUZUKIが +22.9% (19位)、MAZDAが -2.6% (21位)、HONDAが -14.3% (23位)、MITSUBISHIが -3.2% (24位)であった。モデル別では、Cセグメント(コンパクト)のVOLKSWAGEN GOLFが、前年同期比で-11.6%と販売台数を落としたものの、首位となった。同セグメントにて、その他注目モデルとしてRENAULT MEGANEが、32.7%増と大幅に販売を伸ばしている。また、VOLKSWAGEN TIGUANやPEUGEOT 3008に代表されるSUVセグメントの販売増が、引き続き市場全体の成長の原動力となっている。日系ブランドでは、NISSAN QASHQAIが前年同期比 +8.4%のモデル別ランキング6位、TOYOTA YARISが18位(-2.1%)、またAURISが 41位(-11.3%)、C-HRが42位にランキングされている。

以上

Download file: 2017年6月欧州新車販売速報.pdf