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10月 30, 2017 by Yoshihito Aoyagi

2017年9月欧州新車販売台数レポート

  • 欧州市場の新車販売は、約146万台で前年同期比2.2%減少
  • Brexitの交渉の見通しが不透明である事が、UKの販売を減少させ、さらに欧州全体にも影響
  • 新型Nissan Qashqaiが、モデル別販売で首位のVolkswagen Golfに続き、初めて2位の座に

欧州自動車産業はこの数ヶ月の間成長を続けていたが、2017年9月における自動車販売は減少に転じており、前年同月比2.2%減の約146万台となった。

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欧州の5大市場の一つであるイギリス市場で販売台数の減少が続いており、今月は特にイギリスの販売台数の割合が高かったため、欧州全体の数値も減少になっている。また、このイギリス市場の減少の要因の一つであるBrexit交渉の難航が、EU(欧州連合)における英国の将来について不確実性を増加させ、欧州全体に影響を与えている可能性もある。その証拠に欧州27ヶ国中ドイツを含む11ヶ国で販売台数が減少しており、イタリアやスペインでの販売増や、その他6ヶ国での2桁成長分が相殺されてしまっている。

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JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「予期されていた通り、この数ヶ月大きな成長を見せていた欧州市場は減速し始めている。大きな成長の後に減少が見られることは、特に珍しいことではないが、今月に最も多くの販売を記録したイギリス市場の低迷が、欧州全体の販売台数に影響を与えている事は明らかである。Brexitの交渉に見通しがつき、EUにおけるイギリスの将来が確かになるまでは、この状況は続くだろう。その中で成長の可能性が高いのが、SUVセグメント市場である。このセグメントは9月の全販売の31.6%を占め、約462,000台を記録し、前年同期比で14.1%増となった。さらに、今年度累計では、347万台を売り上げ、前年同期比で約55万台以上を増加させている。」

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メーカーグループ別で見ると、VW Groupが、BセグメントやEセグメントの減少もあり、シェアを0.8ポイント失ったが引き続き首位となっている。その他、小型車の販売を増加させたRenault-NissanやHyundai-Kiaが好調な販売となり、ToyotaもSUV販売の好調から良い結果を見せた。日系ブランドの販売に注目すると、Nissanが前年同月比 +3.8%を記録しブランド別ランキング10位。続いてToyotaが+4.0%の11位、Mazdaが -7.1%の19位、Suzukiが +18.8% の20位、Hondaが -17.7%の23位、Mitsubishiが -5.9%の25位であった。

モデル別では、2017年で始めて2桁成長を記録したVolkswagen Golfが先月に引き続き販売台数トップとなったが、今後市場に導入されるVolkswagen T-Rocが価格帯が近く、好調なSUVセグメントということで、この好調な販売にネガティブな影響を与える可能性がある。続いて、新型のNissan QashqaiがRenault ClioやVolkswagen Poloのような人気モデルをかわし、初めて欧州で2位の販売を記録した。さらに、Qashqaiはイギリス、スペイン、フィンランド等でGolfの販売を上回った。その他販売が好調だったモデルは、新型が発表されたCitroen C3(前年同期比50.9%増)や、Peugeot 3008 SUV、BMW 5-series、Mercedes GLC、BMW X1、Fiat Tipoであった。日系ブランドでは、Nissan Qashqaiが前年同期比 +13.6%のモデル別ランキング2位、Toyota Yarisが10位(+1.8%)、Nissan Jukeが34位(+14.0%)、Toyota Aurisが 43位(-13.8%)にランキングされている。

以上

Download file: 2017年9月欧州新車販売速報.pdf