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5月 18, 2018

2017年欧州市場CO2排出量レポート

  • 2017年欧州市場では前年より平均CO2排出量が0.3g/km上昇
  • CO2排出量の増加はディーゼル需要の低下とSUV人気の高まりが関係
  • EU目標である平均95g/kmの達成に貢献できるEVの普及は現段階では限定的

2017年は、欧州市場で販売された新車の平均CO2排出量がこの10年で始めて上昇した年となった。JATOのデータによれば、2017年の平均CO2排出量は、前年より0.3g/km増の118.1g/kmとなっている。

この平均CO2排出量の上昇は欧州におけるディーゼル需要の低下やSUV人気の高まりと深く関係している。なぜならディーゼル車はガソリン車よりもCO2排出量が平均的に低く、SUVは平均より多くのCO2を排出するからである。

2017年に販売された全ディーゼル車の平均CO2排出量は117.9g/kmであり、一方でガソリン車は123.4g/kmであった。またディーゼル車の平均馬力は142HPで、ガソリン車の123HPより高い数値である。つまり、ディーゼル車は少ないCO2排出量で、より大きな馬力やトルクを求めるユーザーにとっては好ましい選択肢であったということである。

しかし、ディーゼル車に対する市場のネガティブな反応や各国政府による規制などで、ディーゼルへの懸念が増え2017年のディーゼル車販売は前年比7.9%減の677万台に低下した。またシェアは全体の43.8%に落ち込み、ピークであった2011年より11.1ポイント低下している。

2017年のディーゼル需要は落ち込む一方で、ガソリン車の販売は前年比10.9%増となり、そのシェアを50%として、前年より3ポイント伸ばした。

AFV (Alternative Fuelled Vehicles: 代替燃料車) は、まだ欧州全体で十分普及しているとは言えず、販売台数の増加も限定的であり、2017年のシェアもまだ5%程度である。電気自動車についてもまだそこまでの成長は見せていない。これはまだ消費者に電気自動車が完全に浸透しておらず、また現在の充電ポイントの数も影響している可能性がある。

SUVへの需要増も平均CO2排出量増加に影響を与えている。2017年は小型SUVやハイブリッドバージョンの導入もあり、SUV自体の平均CO2排出量は昨年の134.9g/kmから133.0g/kmに減少したが、この数値は2017年の新車販売された全ての車両の平均値である118.1g/kmを大幅に上回っている。

 

ブランド別では、昨年度、平均CO2排出量が最も少なかったPeugeotが、今年度は2.7g/km上昇させ104.5g/kmとなり、ランキングでは2番手となった。これは、SUVの需要増が関係しており3008などの好調な販売が要因となってしまった。

Peugeotに代わりランキングトップになったのはToyotaで昨年より平均CO2排出量を2.7g/km減らし、今年度は101.2g/kmを記録した。この要因は販売されたToyotaモデルの約半数を占めているハイブリッド車の販売が増加したことにある。このハイブリッド車はCO2の排出量が低いだけでなく、電気モーターによる追加トルクやパワーなどの性能や、顧客に受容される価格帯等から市場に普及しやすく、今後も平均CO2排出量削減への貢献が期待できる。

 

ディーゼル車の需要減とCO2排出量上昇の相関関係は、特にヨーロッパのメイン市場で確認できる。ドイツやイギリスではディーゼル車の販売は2桁減となっており、またフランスやスペインは、それぞれ5.4%減、8.1%減となった。

これらの国では平均CO2排出量が昨年度より上昇し、ヨーロッパ全体の排出量上昇に大きな影響を与えている。さらにこれらの国におけるディーゼル規制の強化が需要の減少に大きく影響を与えており、結果としてCO2排出量が増える形となった。

Summary

2017年はディーゼル車の需要減によりこの10年で初めて平均CO2排出量が前年より増加した年となった。実際にディーゼル車の販売は減少し、その代わりとしてCO2排出量がより大きいガソリン車の販売が上昇した。

ディーゼル車の減少と同時に、SUVの販売増もまた平均CO2排出量を増加させる主な要因であった。2017年のSUVの平均CO2排出量は133.0g/kmで、全体平均を大きく上回っている。

また昨今注目されているBEV(Battery Electric Vehicle)についても、ディーゼル車減少による影響を相殺できるほど販売量はまだ多くない。EUは2021年までに、平均CO2排出量を95g/kmと目標にしているが、BEVの販売が急速に拡大でもしない限り、この目標の達成は困難であるように見える。

一方でハイブリッド車はディーゼル車の需要減による平均CO2排出量の上昇を抑えるために有効である。なぜなら、ハイブリッド車は顧客に受け入れやすい側面(価格帯、出力やトルク等の性能面)を持っており、現段階ではより市場に普及しやすいからである。

 

*平均値については、該当期間に販売されたモデルのバージョン毎の販売台数で重みづけをした加重平均で計算しています。