Press Releases

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10月 4, 2018 by Yoshihito Aoyagi

2018年8月欧州新車販売台数レポート

  • 今期の新車販売台数は、前年同期比30%増の約117万台を記録し、8月としてはこの20年で最大
  • 販売台数の増加率は、2009年11月の25%増を抜きこの10年で最大の増加率に
  • 今期の記録的な販売台数や増加率は、WLTPの本格導入が影響している可能性も

 

今月の欧州自動車市場における新車販売台数は、前年と比較し大きく増加しており、8月の販売台数としては、この20年で最高の台数を記録した。ただし、ここ数ヶ月の成長率と比較して8月は極端に高く、市場の成長のみの結果だとは考えにくい。8月はWLTPの本格導入前の最後の月であったため、この影響があったと考える方が自然だろう。

特に、WLTPの影響が大きかったのか、ビジネス/フリート向け販売が急増しており、欧州の主要15ヶ国のデータでは8月のビジネス/フリート向け販売は前年同月比38%増(7月は11%増、6月は5%増)で、そのシェアは全体の53%から59%に増えた。また、従来低成長を続けていたビジネス/フリート向け販売の割合が多いサブコンパクトやコンパクトのようなセグメントがそれぞれ25%増と21%増と販売台数を増やし、減少を続けていたMPVセグメントについても、2%増となった。

このビジネス/フリート向け販売の増加はスペインやオランダ、フランス、オーストリアで顕著に見られ、それぞれ増加率は86%、65%、54%、54%であった。一方で全体の41%を占める個人向け販売は11%増となっており、この増加率は最近のトレンドと極端に異なるわけではなかった。

JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「8月はWLTP本格導入前の最後の月ということで各メーカーが販売を急いだ結果が顕著に出る形となった。これらの結果は、このような外部要因が販売台数の変化に大きく影響する事を示している。今後数ヶ月間、各メーカーがWLTPにどう対応し、そしてそれが販売台数にどう影響するのかを注視する事は、今後の市場を分析するために必要になるだろう。」

WLTP導入によるビジネス/フリート向け販売の増加の影響は、燃料タイプにも影響が見られた。ビジネス/フリートに限って言えば、減少を続けるディーゼル車の販売も今月は前年比13%増となった(個人向けは10%減)。但しガソリン車のビジネス/フリート販売は、それを大きく超える68%増となっている。

今月は、多くのブランドで強い成長を見せる結果となった。但し、またランキングトップ10の中で市場成長率を上回ったのはトップ3のブランドである。トップのVolkswagenの販売台数は前年同月比45%増となっており、その中でビジネス/フリート向け販売は56%増で全体の3台に2台を占めている。ただし、これだけが当ブランドの成長を伸ばしているわけではなく、例えば、T-Rocが好調な販売を維持しランキングTOP15位になっていることも要因の一つである。Renaultも前年比72%増(約10万台増)と大きく販売を増加させた(7月と6月の増加率はそれぞれ+20%、+1%)。

ルノーは個人向け販売は33%増にとどまったが、ビジネス/フリート向け販売は倍増しており同ブランドの全販売の61%を占める結果となった。

3番手はAudiで前年同月比33%増で、他ブランドと同様に、全体の73%ビジネス/フリート向け販売(前年比55%増)が後押しした。

その他のTop10入りした7ブランドは、マーケットシェアを落とし、販売台数が前年比3%減となったMercedesがその中で最もシェアを落としたブランドとなった。但しこの結果は、当ブランドのメインモデルであるC-ClassやCLA、GLA等がこの数年モデルチェンジを行っておらず、ライバルブランドとの競争に苦しんでいるためともいえる。

日系ブランドの8月販売は、Toyotaが前年比+20%のブランド別ランキング10位。続いてNissanが +49%の13位、Suzukiが +21% の21位、Mazdaが +11%の19位、Mitsubishiが+71%の22位、Hondaが+27%の24位であった。

モデル別では、Volkswagen Golfが引き続き販売トップモデルとなっている。当モデルのセグメントであるコンパクトセグメントは、前年比21%増の約21万台を販売しており、このGolfやRenault Megane、Skoda Octavia等が販売を押し上げた結果となった。

2位はRenault Clioとなり、当モデルのセグメントであるサブコンパクトセグメントは、コンパクトセグメントと同様にセグメント全体で増加が見られ、Clio以外にもVolkswagen PoloやDacia Sanderoが好調で、全体で25%増の約22万台の販売を記録した。

またセグメント別でシェアトップのSUV(前年比57%増)については、2桁成長を見せたNissan QashqaiやRenault CapturやTiguanが好調な販売を見せている。

日系ブランドの8月販売は、Nissan Qashqaiが前年比+97%でモデル別ランキング3位、Toyota Yarisが16位(+15%)となっている。

以上

Download file: JATO欧州市場新車販売速報_2018年8月.pdf