2019年3月欧州新車販売台数速報
電動車*の販売台数は、3月度で初となる100,000台を突破
テスラがブランド別販売台数ランキングでトップ25入り
*HEVを含む電気自動車
- 3月度の欧州新車販売台数は3.6%下落――7ヶ月連続の減少
- ディーゼル車はマーケットシェアの31%を占めたが、2000年9月度以来最低の水準へ
- テスラ モデル3が電気自動車の販売首位となった
- 第1四半期の販売台数は合計で4,130,000台となり、前年比3.2%減少
2019年3月度の欧州自動車市場における新車販売台数は、7ヶ月連続の下落となった。Brexitのような、昨今の政治や経済への不透明感に加え、市街地でのディーゼル車の規制が消費者の心へ影を落とし、総需要は減少した。先月は、欧州販売の上位10市場を含む、実に27か国中の19カ国で芳しくない結果を残している。第1四半期の結果(リンク先はJATO Blog、英文)は、市場が減少傾向に入ったことを大局的に見せるものであり、増加を記録したのはわずか6カ国に留まる。
自動車の需要そのものは減少の流れにあるのかもしれないが、良い知らせは、電動化の流れは着実に進んでおり、3月度は著しい結果を生んだということである。電動車(BEV, PHEV, HEV)の販売台数が、初めて100,000台を突破し、125,400台を記録した。そのほとんどはドイツ、ノルウェー、スペイン、オランダ市場での伸びに起因し、前年同月比31%増となった。電動車の販売台数の内の半数は、ピュアEV(バッテリーEV)とプラグイン・ハイブリッドが占めているが、実のところ最大のけん引役となったのは、85%増を記録したピュアEVである。
JATOのグローバル・アナリストであるFelipe Munozは、以下のようにコメントしている。「我々が見慣れた市場の成長率をこれからも維持していくことは、大きな挑戦となるだろう。WLTPの型式認証を得ることや、ディーゼル車を取り巻く法整備、差し迫るCO2排出量基準の達成等、業界には迎える出来事があまたあるからだ。しかし、芳しくない傾向が昨年の9月から続いていることは事実だが、何年間も続いてきた成長の後の減速は、それほど悪いものではないかもしれない」
ピュアEVの急速な販売増は、ほとんどテスラの傑出した結果のおかげである。モデル 3の強力な売れ行きのおかげで、テスラは欧州販売台数上位25ブランドの仲間入りを果たした。2月度の3, 747台(改訂後の数値)から、15,755台へと大幅に台数を伸ばし、欧州において最も売れた電気自動車となった。
テスラ モデル3は3月度において、最も売れたプレミアム ミッドサイズ車ともなった。2月度でもセダン・カテゴリーに属する競合車より多く売れる実力があったが、3月度ではすべてのボディタイプを合わせて、競合車を制した。
その一方で、ディーゼル車は人気を失ってきている。先月の市場シェア比は、2000年9月以来最低となる数値を記録した。ディーゼル車の占める販売割合は、2017年3月は44.8%、2018年3月は36.2%であったが、2019年3月は31.2%まで低下している。昨年の時点ですでに販売台数が大きく減っているが、消費者の間にある懸念は未だに需要へ悪影響を与えているようで、下降傾向も、まだ底を見たとは言えないようだ。ディーゼル車の減少を引っ張ったのは、メルセデス、ルノー、プジョー、フォードとランドローバーであり、反対に、フォルクスワーゲン、シュコダ(Skoda)、セアト(Seat)の販売は伸びた。
SUVの販売が大多数を占める現状には変わりないが、その成長は鈍化しつつある。3月度は、SUVの販売台数が合計で650, 300台となり、全体の36.8%となった。しかしながらその販売力は以前までほどは強くなく、“たったの”5%成長に留まった。台数は、スモールSUVで11.7%増え、コンパクトSUVでは5.3%増。その他のSUVセグメントでは減少している。フォルクスワーゲン グループ、ルノー・ニッサン、PSAが3月度、および第1四半期のSUV販売をけん引した。
フォルクスワーゲン ゴルフは、前年同月比で14%減少となったにも関わらず、引き続きモデル別の欧州販売台数で首位となった。販売トップ10の中で最も売上が伸長したのは、オペル/ボクスホール(Opel/Vauxhall)のコルサ(Corsa)で、イギリス、ドイツ、フランスで好調に受け入れられた。コルサ(Corsa)はすでに古くなったモデルであるが、約1年前にモデルチェンジしたフォルクスワーゲン ポロとほとんど同じ台数の販売を記録している。
シトロエン C3、メルセデス Aクラス、ダチア ダスター(Dacia Duster)、フォルクスワーゲン T-Rocにとっても、3月は良い月だった。ランキングの上位25圏外を見ると、テスラ モデル3が27位となり、オペル/ボクスフォール(Opel/Vauxhall)のクロスランド(Crossland)が32%増、とシトロエン C3 エアクロスが23%増、新型アウディ A1が31%増となっている。それ以外には、オペル/ボクスフォール(Opel/Vauxhall)のグランドランド(Grandland)が32%、シュコダ カロック(Skoda Karoq)が32%、セアト アローナ(Seat Arona)が34%、セアト アテカ(Seat Ateca)が35%、ヒュンダイ コナ(Hyundai Kona)が86%、ボルボ XC40が209%、オペル/ボクスフォール(Opel/Vauxhall)のアダム(Adam)が53%、キア ニロ(Kia Niro)が57%の販売増となった。
最近発表されたモデルの台数は以下のようになっている。フォード フォーカス(Focus)が29,521台、メルセデス Aクラスが24,434台、テスラ モデル3が15,755台、アウディ A1、Q3、A6がそれぞれ12,453台、9,743台、9,173台、トヨタ カローラが8,943台、メルセデス Bクラスが6,866台、シトロエン C5 エアクロスが6,357台、BMW X5が3,966台を記録した。