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5月 17, 2022 by Terutaka Kawamura

2022年3月欧州新車販売台数速報

2022年3月、欧州のBEVとPHEVの需要がディーゼル車を追い抜く

  • 3月の欧州新車販売台数は前年同月比 で19%減少
  • BEVとPHEVは、ディーゼル車を抜いて過去最高のマーケットシェアを確保
  • テスラが、ダチア、シトロエン、フィアット、ニッサンを販売台数で上回った

 

JATO Dynamics が発表した欧州 27カ国の 3月の新車販売台数は、前年同月比 19% 減の 1116,419台であった。20203月と比較して販売台数は33%増加したものの、20193月からは37%も減少しており、新型コロナウイルス流行前の水準に戻るには至っていない。

欧州では、新車の供給不足やウクライナ侵攻の影響により、消費者は以前ほど新車購入していない。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「ウクライナは人口比で市場規模が小さく、欧州車の輸出先としては大きくないが、欧州の主要自動車メーカーにとって重要な車両部品の供給先であることに変わりはない」と述べている。昨年1年間のウクライナの新車市場は103,300台で、ロシアを含む欧州で20番目の規模であった。

その結果、2022年第1四半期の数字は、欧州がパンデミックに見舞われた2年前よりも悪化し、前年同月比10%減の273万台となった。これは1985年以来の低水準である。

 

低公害車がディーゼル車を上回る

当月、低公害車の人気は引き続き上昇した。プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)とピュアEVBEV)の販売台数は244,801台で、ディーゼル車の202,113台を上回った。BEVPHEVでは10%の台数増に相当し、ディーゼル車では39%の台数減となっている。

さらにMunozは「新しいEVがどんどん市場に投入されていること。そして、お得なキャンペーンやインセンティブ、内燃機関(ICE)車に比べて納期が短いことに後押しされ、消費者はEVブームに乗りやすくなっている」と述べている。低公害車へのシフトは、ノルウェー、スウェーデン、オランダ、デンマークでよく見られる傾向であることに加え、スイス(EVマーケットシェア:28%対ディーゼル車マーケットシェア:14%)、英国(23%10%)、フランス(21%16%)、ベルギー(24%19%)などの国で特に顕著であった。

 

3月の低公害車の販売台数のうち、BEVはほぼ62%を占め、台数も46%増加した。一方、PHEV22%減少し、93,100台となった。Munozは「PHEVは内燃機関を搭載しているため、BEVのような政府による優遇措置がない。また、バッテリーの開発・製造にはコストがかかるため、インセンティブがなければ、ただでさえ高価なPHEVが消費者にとって魅力的でなくなるのは当然のことだ」と続けた。

 

テスラ モデル3が販売首位

当月もテスラ モデル3が欧州で最も売れた車となったが、販売台数は23,013台で、20213月の23,758台と比較して3%減少した。ただこの落ち込みは、プジョー 20817%減)、フォルクスワーゲン ゴルフ(36%減)、トヨタ ヤリス(31%減)、オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)(36%減)など他モデルの記録と比較すると、軽微であった。

 

モデル3のマイナス成長は、SUVの兄弟車であるモデルYの人気上昇によって説明される。このミッドサイズSUVは、モデル別ランキングで過去最高の3位を確保した。この2つのモデルのおかげで、当月テスラは、ダチア、シトロエン、フィアット、ニッサンといった主流ブランドを上回る販売台数を記録している。2022年第1四半期に、テスラはブランド別ランキングで18位を獲得し、セアト(Seat)との差を縮め、ニッサンを上回った。また、欧州9カ国で最も販売されているブランドのトップ10にも入っている。

 

当月好調だったモデル

新型ダチア サンデロ(Dacia Sandero)は、引き続き欧州の消費者の間で人気があり、キア(Kia)は新型スポーテージ(Sportage)を導入して好調な結果を残した。トヨタ ヤリス クロスは約11,400台販売され、欧州で6番目に売れたB-SUVとなった。オペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)が僅差で続き、20213月と比較して台数を倍増させている。

クプラ(Cupra)はフォーメンター(Formentor)のおかげでマーケットシェアを伸ばし続け、同モデルは欧州で4番目に人気の高いPHEVとなった。ルノー アルカナは、キャプチャー、クリオ(ルーテシア)に次いでルノーで3番目に販売台数の多いモデルとなり、キア Xシード(Kia Xceed)は56%増となった。フォルクスワーゲン タイゴ(Taigo)が5,500台以上、MG ZSがほぼ倍増の5,400台、MG HS188%増の4,229台と、それぞれ販売台数を伸ばした。BMW 4シリーズは、新型となったおかげで、販売台数が72%増の5,181台となった。

ピュアEVのモデルでは、フィアット 500BEVランキングで3位となり、モデル全体の41%を占めた。ダチア スプリング(Dacia Spring)は約4,000台販売され、その53%がフランスであった。ヒュンダイ アイオニック5Hyundai IONIQ 5)は3,243台、キア(Kia EV62,941台が販売された。ポールスター 2の台数は、20213月の1,343台から当月は3,003台と大きく増えた。

 

 

メーカー、モデル別の販売データ一覧はこちらからご覧ください(英文のみ)

https://www.jato.com/wp-content/uploads/Monthly-regs-2.pdf

Download file: March2022-Europe-Volume-Release-J.pdf