2022年3月欧州新車販売台数速報
2022年3月、欧州のBEVとPHEVの需要がディーゼル車を追い抜く
- 3月の欧州新車販売台数は前年同月比 で19%減少
- BEVとPHEVは、ディーゼル車を抜いて過去最高のマーケットシェアを確保
- テスラが、ダチア、シトロエン、フィアット、ニッサンを販売台数で上回った
JATO Dynamics が発表した欧州 27カ国の 3月の新車販売台数は、前年同月比 19% 減の 111万6,419台であった。2020年3月と比較して販売台数は33%増加したものの、2019年3月からは37%も減少しており、新型コロナウイルス流行前の水準に戻るには至っていない。
欧州では、新車の供給不足やウクライナ侵攻の影響により、消費者は以前ほど新車購入していない。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「ウクライナは人口比で市場規模が小さく、欧州車の輸出先としては大きくないが、欧州の主要自動車メーカーにとって重要な車両部品の供給先であることに変わりはない」と述べている。昨年1年間のウクライナの新車市場は103,300台で、ロシアを含む欧州で20番目の規模であった。
その結果、2022年第1四半期の数字は、欧州がパンデミックに見舞われた2年前よりも悪化し、前年同月比10%減の273万台となった。これは1985年以来の低水準である。
低公害車がディーゼル車を上回る
当月、低公害車の人気は引き続き上昇した。プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)とピュアEV(BEV)の販売台数は24万4,801台で、ディーゼル車の20万2,113台を上回った。BEVとPHEVでは10%の台数増に相当し、ディーゼル車では39%の台数減となっている。
さらにMunozは「新しいEVがどんどん市場に投入されていること。そして、お得なキャンペーンやインセンティブ、内燃機関(ICE)車に比べて納期が短いことに後押しされ、消費者はEVブームに乗りやすくなっている」と述べている。低公害車へのシフトは、ノルウェー、スウェーデン、オランダ、デンマークでよく見られる傾向であることに加え、スイス(EVマーケットシェア:28%対ディーゼル車マーケットシェア:14%)、英国(23%対10%)、フランス(21%対16%)、ベルギー(24%対19%)などの国で特に顕著であった。
3月の低公害車の販売台数のうち、BEVはほぼ62%を占め、台数も46%増加した。一方、PHEVは22%減少し、93,100台となった。Munozは「PHEVは内燃機関を搭載しているため、BEVのような政府による優遇措置がない。また、バッテリーの開発・製造にはコストがかかるため、インセンティブがなければ、ただでさえ高価なPHEVが消費者にとって魅力的でなくなるのは当然のことだ」と続けた。
テスラ モデル3が販売首位
当月もテスラ モデル3が欧州で最も売れた車となったが、販売台数は23,013台で、2021年3月の23,758台と比較して3%減少した。ただこの落ち込みは、プジョー 208(17%減)、フォルクスワーゲン ゴルフ(36%減)、トヨタ ヤリス(31%減)、オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)(36%減)など他モデルの記録と比較すると、軽微であった。
モデル3のマイナス成長は、SUVの兄弟車であるモデルYの人気上昇によって説明される。このミッドサイズSUVは、モデル別ランキングで過去最高の3位を確保した。この2つのモデルのおかげで、当月テスラは、ダチア、シトロエン、フィアット、ニッサンといった主流ブランドを上回る販売台数を記録している。2022年第1四半期に、テスラはブランド別ランキングで18位を獲得し、セアト(Seat)との差を縮め、ニッサンを上回った。また、欧州9カ国で最も販売されているブランドのトップ10にも入っている。
当月好調だったモデル
新型ダチア サンデロ(Dacia Sandero)は、引き続き欧州の消費者の間で人気があり、キア(Kia)は新型スポーテージ(Sportage)を導入して好調な結果を残した。トヨタ ヤリス クロスは約11,400台販売され、欧州で6番目に売れたB-SUVとなった。オペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)が僅差で続き、2021年3月と比較して台数を倍増させている。
クプラ(Cupra)はフォーメンター(Formentor)のおかげでマーケットシェアを伸ばし続け、同モデルは欧州で4番目に人気の高いPHEVとなった。ルノー アルカナは、キャプチャー、クリオ(ルーテシア)に次いでルノーで3番目に販売台数の多いモデルとなり、キア Xシード(Kia Xceed)は56%増となった。フォルクスワーゲン タイゴ(Taigo)が5,500台以上、MG ZSがほぼ倍増の5,400台、MG HSは188%増の4,229台と、それぞれ販売台数を伸ばした。BMW 4シリーズは、新型となったおかげで、販売台数が72%増の5,181台となった。
ピュアEVのモデルでは、フィアット 500がBEVランキングで3位となり、モデル全体の41%を占めた。ダチア スプリング(Dacia Spring)は約4,000台販売され、その53%がフランスであった。ヒュンダイ アイオニック5(Hyundai IONIQ 5)は3,243台、キア(Kia) EV6は2,941台が販売された。ポールスター 2の台数は、2021年3月の1,343台から当月は3,003台と大きく増えた。
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