バッテリー容量(kWh)と航続距離の関係は、多様な要素の影響を受けるため、容易に定義することはできない。基本的には、一定のバッテリー容量に対し、効率性(電費)によって航続距離は決定される。しかし、単純にバッテリー容量を増やすと車両重量が増し、効率が低下する。バッテリー特性から空気抵抗まで、車両が走行する際に関与するほぼすべての要素が、最終的な航続距離に影響を与える。本レポートでは、現行車種のデータを分析し、消費者がBEVを購入するメリットについて考察する。
図表1:バッテリー容量(kWh)と航続距離の散布図
同一のバッテリー容量で航続距離が長い車両であれば、SOCを20%分回復させただけで走行可能な絶対距離も長くなるため、実用性が高いといえる。
| Rank | Model | Retail Price | Battery_kWh | Range_km | V2H charging |
| 1 | AUDI A6 E-TRON | 9,810,000 | 100.00 | 769 | N/A |
| 2 | TESLA MODEL 3 | 6,219,000 | 79.00 | 766 | N/A |
| 3 | MERCEDES EQS | 15,500,000 | 118.00 | 759 | STD |
| 4 | SUBARU SOLTERRA | 5,170,000 | 74.70 | 746 | STD |
| 5 | TOYOTA BZ4X | 5,500,000 | 74.69 | 746 | STD |
| 6 | AUDI A6 E-TRON | 10,120,000 | 100.00 | 734 | N/A |
| 7 | LEXUS RZ | 7,900,000 | 74.69 | 733 | STD |
| 8 | AUDI A6 E-TRON | 14,400,000 | 100.00 | 726 | N/A |
| 9 | AUDI A6 E-TRON | 11,250,000 | 100.00 | 725 | N/A |
| 10 | BMW IX | 15,160,000 | 111.50 | 723 | STD |
図表2:航続距離 上位10車種ランキング
航続距離の長い車両のランキングを見ると、高額な車種が上位を占めている。600km以上で見ると、ドイツ勢を中心とする輸入車が多い。しかし、700km以上の航続距離を実現するために、必ずしも100kWhを超えるバッテリー容量が必要なわけではない。ランキング上位10車種のうち4車種は80kWh以下であり、走行時の電費改善の成功例とみることができる。
では、車両小売価格を加味した航続距離およびバッテリー容量のランキングはどうなっているか。どちらの指標で見ても、中国・韓国ブランドの価格競争力は高い。その傾向は多くの諸外国と概ね共通しているが、2025年に仕様が向上したニッサン リーフやトヨタ bZ4X(スバル ソルテラ)といった国産車種も上位に入っている点は注目に値する。特筆すべきは、これらの車種すべてがV2H(Vehicle to Home)に対応していることである。
| Rank | Model | Retail Price | Battery_kWh | Range_km | Rank | Model | Retail Price | Battery_kWh | Range_km | |
| 1 | BYD SEAL | 4,950,000 | 82.56 | 640 | 1 | HYUNDAI INSTER | 2,849,000 | 42.00 | 427 | |
| 2 | BYD SEALION 7 | 4,950,000 | 82.56 | 590 | 2 | SUBARU SOLTERRA | 5,170,000 | 74.70 | 746 | |
| 3 | BYD DOLPHIN | 3,740,000 | 60.48 | 476 | 3 | HYUNDAI INSTER | 3,355,000 | 49.00 | 477 | |
| 4 | HYUNDAI IONIQ 5 | 5,236,000 | 84.00 | 703 | 4 | BYD DOLPHIN | 2,992,000 | 44.93 | 415 | |
| 5 | BYD SEAL | 5,280,000 | 82.56 | 640 | 5 | HYUNDAI KONA | 4,521,000 | 65.40 | 616 | |
| 6 | HYUNDAI IONIQ 5 | 5,544,000 | 84.00 | 648 | 6 | TOYOTA BZ4X | 5,500,000 | 74.69 | 746 | |
| 7 | NISSAN LEAF | 5,188,700 | 78.00 | 702 | 7 | NISSAN LEAF | 5,188,700 | 78.00 | 702 | |
| 8 | BYD DOLPHIN | 2,992,000 | 44.93 | 415 | 8 | HYUNDAI IONIQ 5 | 5,236,000 | 84.00 | 703 | |
| 9 | BYD DOLPHIN | 4,070,000 | 60.48 | 476 | 9 | BYD SEAL | 4,950,000 | 82.56 | 640 | |
| 10 | HYUNDAI INSTER | 2,849,000 | 42.00 | 427 | 10 | HYUNDAI INSTER | 3,575,000 | 49.00 | 458 |
図表3:価格調整後指数(バッテリー容量・航続距離 ÷ 小売価格)上位10車種ランキング
V2Hとは、車両に蓄えた電力を家庭側の電源として供給し、利用することができる機能である。太陽光発電による電力の消費、売電、充電を最適化することで電気料金の削減が可能となり、あわせて災害時の非常用電源としても活用できる。一般的な家庭の1日あたりの電力使用量を20kWhと仮定すると、50kWhのバッテリー容量があれば、約2〜3日分を賄うことができる計算となる。
移動可能な蓄電池として自家用車を購入する場合、価格面では中国・韓国メーカーの車種が選択しやすい。たとえばBYD シールは、80kWhを超えるバッテリー容量を備えながら、価格は500万円を下回っている。
また、発売が予定されているシャープ LDK+は、走行時間よりも駐車時間が長い点に着目し、「移動するリビングルーム」をコンセプトとした車両である。自宅駐車時にはもう一つの部屋として利用でき、家庭用蓄電池としても機能する。
何のために車を所有するのかという価値は、現在、ますます多様化している。