2021年7月欧州新車販売台数速報
欧州では低公害車が過去最高のマーケットシェアを記録したが、市場の成長は停滞している
- 7月の欧州の新車販売台数は4ヵ月間の増加の後、減少に転じる
- BEVおよびPHEVは、7月としては過去最高となり、今年2番目に高い月次シェアを記録
- モデル別販売ランキングでは、ダチア サンデロ(Dacia Sandero)が首位、ヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)とフォード プーマ(Puma)がトップ10に入る
JATO Dynamicsが調査した欧州26カ国のデータによると、2021年7月の新車販売台数は前年同月比24%減となり、127万台から96万7,830台に減少した。これは96万6,090台が販売された2012年7月と同水準である。年初来累計では738万1,735台で、2020年と比較すると17%増加しているが、2019年1月から7月までと比較すると24%減少している。
JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「各国の政府が消費者信頼感を回復させようと努力しているが、新型コロナウイルスの影響がまだ業界に残っていることが感じられる」と述べている。ノルウェー、クロアチア、ギリシャ、ラトビア、ルーマニア、エストニア、アイルランド、リトアニアでは台数が増加したが、これらの国を合わせても、当月の欧州全体の販売台数の8%にしかならなかった。
電動車に対する意欲は引き続き高まっているが、市場の成長をけん引するには至らず
全体的な傾向とは対照的に、欧州の消費者は引き続き低公害車(BEVおよびPHEV)を多く購入した。7月の低公害車の販売台数は合計160,646台で、市場全体の約17%を占めている。これは、2021年6月に次いで2番目に高い月次シェアであり、欧州では過去3番目に高いシェアであった。このうちBEVが占める割合は47%である。
Munozは「EVの価格競争力を高めるために用意されたキャンペーンやインセンティブに、消費者は積極的な反応を示している。しかし、人気が高まっているにもかかわらず、消費者の取り込みは、ディーゼル車の大きな落ち込みを相殺するほどではない」と付け加えた。JATOのデータによると、2019年7月から2020年7月の間に、ディーゼル車のマーケットシェアは2%ポイント以上減少し、2020年7月から2021年7月の間には8%ポイント近く減少した。同じ期間、EVのシェアは、ディーゼル車が失った分だけ伸びている。
ガソリン車のマーケットシェアは、2019年7月の63.4%から2020年7月の59.8%、そして当月の59.0%へと着実に縮小している。Munozは「内燃機関(ICE)車よりもEVを優遇するキャンペーンの影響が市場で現れ始めているが、伝統的なパワートレインが受けた損失をEVが吸収できるほど、業界はまだ十分な対策を講じていない」 と続けた。ディーゼル車の販売台数が2020年7月から2021年7月の間に16万6,000台、2019年7月から2021年7月の間に20万7,000台近く減少したのに対し、EVは2020年7月から2021年7月の間に4万9,000台、2019年7月から2021年7月の間に12万5,000台しか増加していない。
当月のモデル別販売ランキングでは、ダチア サンデロ(Dacia Sandero)が2008年の発売以来、初めて首位を獲得した。新世代となったおかげで、ドイツで15%増、ルーマニアで24%増と大幅な伸びを示し、フランスとスペインでは販売首位になった。年初来の販売ランキングで8番目に売れた車にもなっている。
サンデロ(Sandero)の台数は、2019年7月と比較してわずか2%の減少に留まっているが、フォルクスワーゲン ゴルフ、フォルクスワーゲン ポロ、ダチア ダスター(Dacia Duster)、トヨタ カローラ、フォルクスワーゲン ティグアン、オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)、シュコダ オクタビア(Skoda Octavia)、プジョー 208、メルセデス Aクラス、ルノー クリオ(ルーテシア)などは、17%から52%の減少となっている。
当月はSUVセグメントにおいても、ヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)とフォード プーマ(Puma)がトップ10入りするなど、好調な結果となった。当月のSUVのマーケットシェアは46.1%と、7月期として欧州で過去最高を記録している。販売台数は15%減少しているが、セダンなどの従来人気のセグメント(28%減)、MPV(48%減)、スポーツカー(37%減)の減少幅が大きかったため、SUVはマーケットシェアを拡大することができた。