2023年5月欧州新車販売台数速報
5月にテスラは欧州市場で過去最大のシェアを獲得し成長を加速させた
- テスラは、2.63%のマーケットシェアで過去最高の販売台数を記録
- 欧州市場全体では18%成長するも、パンデミック前の水準には及ばず
- BEVは前年同月比65%増で、フォルクスワーゲングループが首位
JATO Dynamicsが調査した欧州28カ国のデータによると、2023年5月の新車販売台数は111万6,472台で、前年同月の94万3,435台から18%増加した。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「BEVとSUVが引き続き業界の回復をけん引しているものの、全てのセグメントにおいて、販売台数をパンデミック前の水準に戻すには不十分である」と述べている。年初来累計販売台数は、17%増の530万台となったが、2019年同期の693万台には及ばず、半導体不足の影響を受けた2021年の水準に近い。
テスラがライバルを上回る
当月、テスラは欧州市場の2.63%のシェアを獲得し、最も成長した自動車メーカーとなった。2022年5月はわずか0.15%だったが、これは供給できる車両がないことによる販売台数の減少が原因だった。当月のテスラの販売台数は2万9,400台に迫り、2021年5月(8,810台)、2020年5月(2,757台)、2019年5月(4,087台)の月次台数を大きく上回った。Munozは「インセンティブと優れた市場ポジションを活用することで、テスラはライバルを凌駕することができた。ブランドの成功の一部は、継続的な価格引き下げによっても説明できる」と付け加えた。
BEVセグメントでは、テスラのマーケットシェアは月次で17.4%となり、年初来累計では18.9%と、前年同期の12.2%から上昇し、6.7%ポイントと最大のシェア拡大を記録した。MGと上汽大通(Maxus)を所有する上海汽車集団(SAIC Group)が2.8%ポイント増で続き、フォルクスワーゲングループは2.7%ポイント増のシェアを確保した。一方、ヒュンダイ・キアは5月までに5.6%ポイントのシェアを落とし、次いでステランティスが3.4%ポイントのシェアを落とした。
5月のBEV販売台数は65%増の16万9,091台となり、当月全体の15%を占めた。1月から5月にかけて欧州で最も売れたモデルYの成功に加え、MG 4がモデル別BEVランキングで6,310台と、ライバルのフォルクスワーゲンID.3の5,529台を抑えて過去最高の3位を獲得したことも市場を揺るがしている。フォルクスワーゲンID.4も8,543台(103%増)と好調で、当月2番目に人気のBEVとなった。また、ボルボ XC40 BEV(329%増)、BMW i4(123%増)、BMW iX1も好調な伸びを示し、いずれも当月のBEVランキングで上位に入った。
ダチア サンデロ(Dacia Sandero)が再び首位に
ダチアの低価格モデルであるサンデロ(Sandero)は、フランス、イタリア、スペイン、ドイツなどの主要市場での好調な販売増に後押しされ、78%増の2万1,700台以上となり、モデル別販売ランキングで再び首位の座を取り戻した。Munozは「モデルYがハイエンドEVセグメントで影響力をもっているのと同様に、サンデロはローエンドのICEセグメントで勢いがある」と続けた。
テスラ モデルYは、2022年5月と比較して1,838%増の2万1,530台で2位に続いた。Munozは「モデルYの人気は欧州で確実なものになっており、2023年末には欧州と世界のモデルランキングの両方で首位になる可能性が高い」と付け加えた。
最近発売されたモデルの中では、ルノー オーストラル(Austral)は7,174台販売され、同ブランドで4番目に売れたモデルとなった。ジープはアベンジャー(Avenger)を4,290台販売し、コンパス(41%減)とレネゲード(32%減)の落ち込みを相殺して、当月最も売れたジープモデルとなった。
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