2023年7月欧州新車販売台数速報
パンデミック以降初めて、欧州自動車市場の月次成長が1年間続いた
- 7月の欧州自動車市場は17%成長し、パンデミック以降で最高の結果
- フォルクスワーゲングループがマーケットリーダーの座を固め、ステランティスとの差を拡大
- 2022年7月と比べ、中国自動車ブランドのシェアが倍増した
2023年7月の欧州自動車販売台数は前年同月比17%増加し、12ヵ月連続して前年同月比プラスとなった。2021年7月から2022年7月までの1年余り、月次ベースで減少が続いたが、2022年8月以降はプラス基調を維持している。新車販売台数は、2022年7月の87万3,825台に対し、当月は101万8,403台となった。年初来累計台数は2022年の646万730台から758万1,537台へと増加し、新型コロナウイルスの流行以来最高の結果を記録した。
当月の販売台数には、燃料タイプの違いが影響した。BEV(ピュアEV)は7月に62%増加した一方で、ガソリン車も引き続き大きな販売台数を記録している。ガソリン車の需要は15%増の58万9,705台となり、当月の総台数の58%を占めた。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「BEVは政府によって奨励され、特定の内燃機関車を使用するものには罰則が設けられているにもかかわらず、消費者は後者を購入し続けている。ガソリン車は昨年と同様の割合で販売されており、2022年7月のマーケットシェアとの差は1%ポイント未満である。したがって、消費者がまだ懸念を抱いており、NEV(新エネルギー車)への完全な切り替えに消極的であることは明らかだ」と述べている。
この継続的な人気の背景にはいくつかの要因があり、特に価格帯の違いが挙げられる。今年上半期にドイツで販売された電気自動車の平均価格は、ガソリン車よりも39%高かった*。販売されているBEVモデルの不足も重要な課題であり、ドイツではBEVモデルが109に対し、ガソリンモデルは297と開きがある。Munozは「BEVが、長年親しまれてきたガソリン車と肩を並べて競争し、成功するためには、業界はもっと努力する必要がある。規制だけで達成することはできないだろう。BEVの普及を促進するには、認知度の向上と価格の適正化が必要だ」と続けた。
* インセンティブやリベートを除く
フォルクスワーゲングループが優勢
電気自動車へのシフトが欧州の自動車業界にとって優先事項であり続ける中、一部の自動車メーカーは進化する市場環境を有利に利用しており、特にフォルクスワーゲングループはその傾向が顕著だ。現在、同社の成長は主にシュコダ オクタビア(Skoda Octavia)、フォルクスワーゲン ティグアン、ポロ、アウディ A3、クプラ フォーメンター(Cupra Formentor)といったICE(内燃機関車)およびPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)によってけん引されている。
フォルクスワーゲン ID.4は、7月に同グループで最も売れたBEVであった。しかし、他の燃料タイプも合わせるとグループ内8位にとどまり、年初来累計では13位である。Munozは「フォルクスワーゲングループのマーケットシェアは7月に0.8%ポイント伸ばし、ここ2年間で最も高い27.49%まで上昇した。欧州最大のメーカーが、このような成長を促進するために、依然として伝統的な内燃機関モデルに依存していることは興味深い」と述べた。
対照的に、ステランティスは欧州第2位のグループであるにもかかわらず、当月もけん引力を失い続けた。当月のマーケットシェアは15.62%で、2022年7月と比較すると3.5%ポイント低下し、フォルクスワーゲングループとステランティスのマーケットシェアの差は、2021年初頭にステランティスが設立されて以来、最大となった。
けん引役がまだいない中国メーカー
当月、欧州に進出している22の中国ブランドは、前年同月比131%増の2万5,564台を販売した。同期間のマーケットシェアは1.27%から2.51%へと倍増している。しかし、中国メーカーが販売した台数の88%は、MG、リンク・アンド・コー(Lynk & Co)、DRオートモビルズ(DR Automobiles)のものであり、これらのブランドは自らを中国起源とは位置づけていない。
Munozは「評判とブランド認知は、中国メーカーが直面する2つの大きな課題であり、特に欧米ではそれを強く意識している。この認識を変えるには、単に良い製品を競争力のある価格で提供するだけでなく、多くの努力が必要だ」と述べている。
フォルクスワーゲン ゴルフがトップ3に返り咲き
モデル別ランキングには大きな変化があり、フォルクスワーゲン T-Rocが前年に続き首位となった。販売首位にもかかわらず、台数は前年同月比5%減少した。2位はダチア サンデロ(Dacia Sandero)で、2022年7月と同様の順位を維持している。3位はフォルクスワーゲン ゴルフで、これまでで今年最高の順位を獲得した。ゴルフはガソリン車に加え、ビジネス/フリート販売も伸びた。
その他、ルノー クリオ(ルーテシア)、シュコダ オクタビア(Skoda Octavia)、フォード プーマ(Puma)などが上位を占めた。新型モデルの首位はルノー オーストラル(Austral)で、アルカナの6,138台に迫る6,103台を販売し、ルノーで4番目に売れたモデルとなった。MG MG 4は、フォルクスワーゲン ID.3の4,241台、ルノー メガーヌの3,380台を上回る5,890台を記録し、当月4番目に売れたBEVであった。
ジープ アベンジャーは、初めて同ブランドで最も売れたモデルとなり、4,000台近くを販売した。一方、BMWはiX1を3,461台販売し、同ブランドで最も人気のあるBEVとなった。トヨタはカローラクロスを2,813台販売したが、カローラの1万1,527台を大幅に下回った。
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