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10月 5, 2023 by Terutaka Kawamura

2023年8月欧州新車販売台数速報

8月のBEV需要は急増し、欧州の販売台数の22%を占める

 

  • 2023年8月のBEV販売台数は前年同月の2倍以上に増加
  • BEV需要増加の恩恵を最も受けたのはテスラとMG
  • 一部の中国メーカーは、欧州でのネガティブなイメージの克服に苦戦
  • テスラ モデルYは2023年の年間販売首位になると予測される

 

ガソリン車の需要は依然として高いが、欧州の新車販売台数が増加したのは、月次シェアとして過去2番目に高い水準を記録した電気自動車の取り込みのおかげである。JATOが調査した欧州28ヵ国のデータによると、2023年8月の販売台数の約90万台の22%に当たる19万6,000台がBEVであった。

市場全体は前年同月比20%増加し、電気自動車の台数は102%増加、ガソリン車の台数はわずか11%増加した。しかし、台数の増加は少ないものの、販売台数の半分以上(53%)をガソリン車が占めている。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「業界では現在、BEVの成長鈍化がしばしば指摘されているが、JATOのデータは、BEVの価格競争が激化していることと、欧州全域の政府による継続的な支援により、需要の伸びが堅調に推移していることを示している」と述べている。

BEV 販売台数は、ベルギー(224%増)、ギリシャ(183%増)、ルクセンブルク(164%増)、ポルトガル(164%増)で力強い伸びを示した。ドイツは171%増加したことで、欧州BEV販売全体の44%を占めている。Munozは「テスラモデルの流入と、価格競争力のある自動車を生産しようとしのぎを削っている中国メーカーによるBEVの導入により、欧州全域でEVの需要が急増している」と付け加えた。

一方、イタリアとスペインの市場では、BEVのシェアはそれぞれ5%と7%で、一桁台にとどまった。一方、ポーランドとチェコ共和国ではBEVのシェアはわずか3%であった。

テスラとMGは利益を享受

しかし、すべての自動車メーカーがBEVブームの影響を受けているわけではない。8月にかけての年初来累計では、テスラの販売台数は2020年の4万5,600台から急上昇し、今年は過去最高の23万6,400台に達した。同様に、市場全体におけるシェアを2.43%ポイント伸ばし、3.76%という新記録を達成した上、BEV市場におけるシェアは2022年8月の10.2%から17.3%へと大きく拡大した。

Munozは「複数の要因がテスラ車の需要の伸びをもたらした。しかし、最も顕著なのは、モデル3とモデルYの最近の値下げにより、限定的でやや古くなったラインナップにもかかわらず、勢いを維持することができたことだ。現在の問題は、欧州の競合他社がどのように競争力を維持し、同じように手頃な価格のBEVを生産するかである」と話している。

MGは8月にも着実に順位を上げており、2022年8月と当月の間で、BEV市場と市場全体の両方で2番目に高いマーケットシェアを獲得した。当月、MGはジープ、マツダ、ミニ、スズキを抑え、欧州のトップ25ブランドにランクインしている。BEV市場では、MGはアウディ、オペル/ボクスホール(Opel/Vauxhall)、プジョー、ルノー、シュコダ(Skoda)よりも多くを販売した。

8月までの年初来累計の中国ブランドの販売台数19万7,800台のうち、MGは69%を占めた。一部のブランドは成功を収めたものの、多くの中国ブランドは欧州の消費者のネガティブなイメージを変えるという課題に直面している。

遅れをとるブランド

フォード、ヒュンダイ・キア、ステランティス、フォルクスワーゲン・ブランドは、テスラやMGの台頭の影響を受けている。ステランティスにとって、傘下のブランドであるシトロエンとプジョーは、ディーゼル車の需要減少が続いているため、より多くのEVモデルが必要になるだろう。ヒュンダイ・キアとフォルクスワーゲンは電気自動車モデルを増やしているものの、テスラやMGの影に隠れて市場平均の伸びには追いついていない。

テスラ モデルYは2023年末に年間販売首位モデルになると予測

テスラ モデルYは、2022年8月より208%増加し、2万1,549台で欧州のモデル別販売ランキング首位を継続した。年初来累計販売台数は16万9,420台で、欧州で販売されている全モデルの中で最も多い。Munozは「モデルYは年内に欧州で最も売れた乗用車になる可能性が高い。欧州ブランドでないモデルが首位になることは、注目に値する歴史的な瞬間となるだろう」と述べた。モデルYは、ベルギー、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスで首位に立ち、ドイツとイギリスでもトップ5に入った。

その他販売を増やしたモデルは、ルノー クリオ(ルーテシア)の145%増、テスラ モデル3の307%増、フォルクスワーゲン ID.4の61%増、BMW X1の392%増であった。また、BEV販売第6位のMG MG 4も好調で、BMW iX1は4,693台を記録した。これらは、メルセデスEQA(3,706台)、ボルボ XC40 BEV(3,108台)よりも好調である。ルノー オーストラル(Austral)は4,460台で、ルノーで4番目に人気のモデルとなった。ジープ アベンジャーは3,669台で、そのうち2,127台がピュアEV(BEV)であった。

 

*中国車についての最新レポート「Perception: The last barrier for Chinese cars」(英文のみ)は、こちらからダウンロードできます: https://info.jato.com/perception-the-last-barrier-for-chinese-cars

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