2023年9月欧州新車販売台数速報
9月にEV需要が急増したことで、SUVのマーケットシェアは過去最高に
- 2023年中で、欧州自動車市場の成長率は最も鈍化した
- 9月の販売台数の54%をSUVが占めた
- BEV需要は13%増加
2023年9月の欧州新車販売台数は前年同月比10%増の115万5,648台となり、今年最も低い伸び率を記録した。パンデミックの影響を受けた2020年9月と比較すると、台数は11%減少している。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「地政学的な不確実性に加え、インフレや金利の上昇といった金融面での圧力にもかかわらず、欧州の自動車市場は今年に入り一貫した成長を示している。EVはこの成長の主要な原動力であったが、ICE(内燃機関車)の代わりになる手頃な価格のモデルが市場において希少であることを考慮すると、この成長が長く続くとは考えにくい」と述べている。
*EVについての最新レポート「EV price gap: A divide in the global automotive industry」(英文のみ)は、こちらからダウンロードできます: https://info.jato.com/ev-price-gap-report
手頃な価格のEVが市場に出回っていないことを考慮すると、電気自動車の需要は高かった。当月のEV販売台数は、前年同月比13%増の18万6,380台で、市場全体の16.1%を占めた。9月までの年初来累計では146万5,249台となり、前年同期比47%増であった。Munozは「価格が比較的高いにもかかわらず、電気自動車は市場でかなりの存在感を示している。しかしこの成長が続くとしたら、より安価なモデルが登場した場合のみであろう」と付け加えた。
SUVが優勢
SUVの人気は引き続きBEV販売を支えており、当月のBEV販売台数の60%を占めた。このシェアは、過去最高を記録した市場全体での記録(54%)をさらに上回った。Munozは「SUVが伝統的な市場に与えた影響は、EV市場にも及んでいる。SUVの好調な販売実績は、高級車から小型で手頃なモデルまで、ますます幅広く提供されるようになったことが主な要因である」と続けた。
当月、テスラ モデルYは、2万9,309台を販売し、欧州で最も人気のある新車となり、月間ランキングと年初来累計ランキングの両方で首位になった。「テスラ モデルYが欧州で最も販売台数の多い新車として今年を終える可能性は非常に高い。モデル全体の好調さを考えると、テスラはフィアットやシトロエンといった伝統ある地場の自動車メーカーを上回る販売台数を記録し、業界に衝撃を与える可能性も秘めている」とMunozは付け加えた。
モデルYの成功にもかかわらず、モデル3の需要減退により、テスラの9月の販売台数は19%減少した。ただモデル3は現在フェイスリフト中であり、消費者が新モデルの到着を待っているため、短期的に販売が悪化した可能性がある。
一方、MGは前年同月比91%増の2万6,500台以上を記録した。これにより、年初来累計で前年同期比126%増の約16万3,200台となった。販売台数では、MGはすでにスズキ、マツダ、ミニなどの競合他社を上回っている。当月、MG MG4は欧州で2番目に売れた電気自動車となり、2022年9月に導入されて以来、最高の結果を残した。欧州で発売されて当月までの間に、MG4は5万7,800台以上販売された。
また、MG ZSも人気を集め、118%増の1万1,862台となり、欧州で12番目に売れたSUVとなった。その他好調だったモデルは: 93%増の8,583台を記録したニッサン ジューク、93%増のクプラ レオン(Cupra Leon)、53%増のBMW X3、269%増のメルセデスGLC、177%増のBMW X1などがある。
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