2019年4月1日の税制改正とその影響
- ハイブリッドシステム搭載車両の内、燃費基準+40%未達車の負担が特に増大
- 乗用車の自動車取得税のエコカー減税は、軽減割合を変更し6か月間延長
- 乗用車の自動車税のグリーン化特例は、現行制度のまま2年間延長
- 先進安全技術を搭載したトラック・バスに係る特例措置(ASV特例)は、現行制度のまま2年間延長
- 商用の重量車、中量車の内、取得税25%軽減対象車が措置対象外へ
2019年4月1日(月)、平成31年度税制改正関連法が施行されました。
自動車に関する税制の内、今回変更となるのは自動車取得税額と自動車取得税減税率のみとなっております。具体的な変更内容と、それを受けて税負担額がどのように変わったのかを以下にお伝えします。
1.乗用車の税制改正について
2019年4月1日から、予定されている消費税増税の前日(9月30日)までの期間、自動車取得税のエコカー減税の軽減割合が以下のように変わります。
自動車税・軽自動車税の軽減割合については変更されず、現状維持となります。
2.商用車の税制改正について
重量車(車両総重量3.5t超のバス・トラック)および、中量車(車両総重量2.5t超3.5t以下のバス・トラック)の内、現行制度で取得税25%軽減措置の対象となる、平成27年度燃費基準達成車両については、減税対象外となります。
ただしそれ以外の、軽量車(車両総重量2.5t以下のバス・トラック)のエコカー減税については、変更ありません。
ASV特例は、先進安全技術を搭載したトラック・バスにかかる自動車取得税を、取得価額から控除するものですが、変更なく現状維持となります。
本年5月1日、10月1日に予定されている税制改正については、それぞれ改めて詳細内容を公表します。
3. 今回の税制改正の持つ影響
JATOのデータベースでは、税制改正前後での、自動車にかかる税金を一覧で比較することが可能です。これは、グレードのみならず、駆動輪やトランスミッションの違いにまで分けたバージョンごとに税金額を手計算する、他社とは一線を画したリサーチを行っているためです。
今回の税制改正によって、取得税額が増えた乗用車を以下に記します。
*2019年4月1日時点での現行車種のデータを、税制改正前のデータと比較して算出。メーカー別、モデル別の値は、それぞれすべてのバージョンデータの平均値を計算している。負担率は自動車取得税減税率の変化を元に、負担額は自動車取得税減税額の差を元に算出。
メーカー別で見ても、モデル別に見ても、上位を占めたのは日本メーカーでした。輸入車には減税の対象となる車両が、EV等に該当する車両を除けば、ほとんど存在しないことが理由です。
元より販売価格帯が高いレクサスが、金額ベースで1位となったことに不思議はありませんが、実は今回最も税制改正の影響を受けたメーカーは、軽自動車に強みを持つ、ダイハツ、スズキでした。車両価格帯こそ安価ですが、金額ベースで見ても上位に入っています。
その影響力はモデル別で見ても明らかであり、負担率ベースで見た場合、上位5車種を占めたのはすべて軽自動車でした。
マイルド・ハイブリッドシステムを搭載した軽自動車は主流となってきていますが、環境性能基準の引き上げには対応し切れなかった形です。平成32年度燃費基準を+40%以上達成しているストロング・ハイブリッド車については、今回取得税増額の対象となっていません。
取得税額がモデル平均で最も増えたのは、トヨタ・センチュリーで49,000円の負担増。また、バージョンごとで最も変化が大きいのは、レクサス・LS 3.5 500H EXECUTIVE で、126,000円増となっています。(オプション料金を除いた、税抜きのメーカー希望車両価格を元に算出)
なお自動車取得税は、2019年10月1日の消費税増税と同時に廃止となり、環境性能割という新税へと変わる予定です。
以上
参考資料:
平成31年度 国土交通省税制改正概要 (国土交通省)
平成31年度(2019年度) 経済産業関係税制改正について (経済産業省)