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2月 15, 2023 by Terutaka Kawamura

2022年欧州新車販売台数総括

プジョー 208が、2022年にフォルクスワーゲン ゴルフの14年にわたる欧州販売首位の地位に終止符を打つ

 

  • 2022年の欧州新車市場は3年連続でマイナスを記録
  • 中国メーカー、ヒュンダイキア、トヨタが販売を大きく伸ばした
  • テスラはセアト、スズキ、ミニを上回った
  • モデル別ランキングではプジョー 208が首位

 

欧州新車市場は、2022年も前年比マイナスを記録した。JATO Dynamicsが調査した30カ国(EU加盟26カ国+英国+ノルウェー+スイス+アイスランド)の販売台数は1,1309,310台で、2021年比で4.1%減となり、1985年以来の低水準となった。

 

2022年は、新型コロナウイルスの大流行が欧州経済を襲った2020年に記録した台数より674,000台少なく、5.6%の減少を記録した。2019年と比較すると、新車販売は450万台減少し、29%の減少であった。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「販売店での新車不足、インフレ、エネルギー危機といったすべてが、すでに問題を抱えている市場にとって大きな課題であることが判明した。感染症に続いて、2021年、2022年を通じて半導体の不足が続き、さらにロシアのウクライナ侵攻とその後のエネルギー価格の上昇が積み重なって、消費者の信頼と消費に影響を与えたのだ」と述べている。

中国メーカーは地歩を固めた

マーケットシェアの面では依然として大きな存在ではないが、浙江吉利控股集団(Geely Group)傘下のボルボ、ポールスター(Polestar)、リンク・アンド・コー(Lynk & Co)を除き、MGを含む中国ブランドは2022年に大きな進展を見せた。全自動車グループの中で、これらのブランドは最もマーケットシェアを拡大し、販売台数は2021年の66,100台から2022年は152,400台に急増した。

 

中国ブランドを合計すると、マツダ、スズキ、ジャガー・ランドローバーなどの確立されたメーカーを上回った。その中多くを占めるのは、中国系ブランドのMGが設計・製造した車両で、販売台数は116%増の約114,000台に達し、ジープやホンダなどのメーカーを上回っている。

 

イタリアのDR Automobilesは、中国車である奇瑞汽車(Chery)のロゴを付け替えてスペインとイタリアで販売しており、販売台数は197%増の約25千台を記録して、スマートとSUBARUを上回った。MGDR Automobilesは、全ての中国ブランド販売台数の91%を占めた。比亜迪汽車(BYD)、紅旗(Hongqi)、上汽大通(Maxus)、上海蔚来汽車(NIO)、東風小康汽車(DFSK)、愛馳汽車(Aiways)は、いずれも販売台数が1,000台を超えている。

 

Munozは「競争力のある商品と合理的な販売目標によって、中国ブランドは欧州の自動車市場に進出することができている。次のステップは、認知度を高め、歴史的に一部の消費者の中国製品に対する購買意欲を減退させてきたネガティブな感情からの転換を促すことだ」と続けた。

 

ヒュンダイキアとトヨタが好調

2022年は、ヒュンダイキアとトヨタも好調であった。ヒュンダイキアは3.8%増の105万台となり、メーカーグループ別ランキングで3位となったルノーグループとの差を詰めた。キアは、姉妹ブランドであるヒュンダイを上回る販売台数を記録し、この結果に大きく貢献している。キアの新型スポーテージ(Sportage)とヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)は消費者の人気を集め、フォルクスワーゲン ティグアン、プジョー 3008、ニッサン キャシュカイ(Qashqai)など、他の主要メーカーのSUVを上回る販売台数を記録した。

 

トヨタは、欧州で4番目に売れたB-SUVであるヤリスクロスの初年度の成功が大きく貢献し、ブランド別ランキングでフォルクスワーゲンに次ぐ過去最高の2位を獲得している。

上昇を続けるテスラ

テスラのマーケットシェアは2021年の1.43%から2022年には2.06%に上昇し、セアト(Seat)、ミニ、スズキを上回る一方で、ニッサンを4,300台も引き離している。この成長をけん引したのは、販売台数138,000台強を記録し、欧州で電気自動車として最も売れたモデルYである。2022年に欧州で13番目に売れたモデルとなったが、これは2021年に欧州で17位であったモデル3を犠牲にしてもたらされたものであった。

ステラティス、スズキ、フォルクスワーゲンが減少

一方、ステランティス、スズキ、フォルクスワーゲングループなどは、2022年にマーケットシェアが縮小した。最も大きな落ち込みを見せたのはステランティスで、2021年の20.23%から18.22%に減少している。販売台数は14%減の206万台となり、欧州10大メーカーの中で台数ベースとして最大の下落となった。ステランティス傘下の4大ブランド(プジョー、オペル、フィアット、シトロエン)は、車両の供給に問題が発生し、プジョー 20083008などの主要車種に影響を与えた他、ジープ レネゲードやフィアット 500Xなどが古くなってきたことで、2桁の減少を記録した。

プジョー 208がゴルフを販売首位の座から降ろす

2007年以来、フォルクスワーゲン ゴルフは欧州で最も人気のあるモデルであったが、2022年にその支配は終わりを告げた。Munozは「ゴルフの成功は、バランスよく幅広い消費者のニーズを満たすことができたことが大きい。しかし、時代は変わり、現在の消費者の優先順位は数年前とは全く異なっている」と述べている。

 

フォルクスワーゲンは、ソフトウェアに関する課題に加え、SUVの人気が高まったことで、兄弟車であるT-Roc、ティグアン、シュコダ カロック(Skoda Karoq)、アテカ(Ateca)や、最近ではフォーメンター(Formentor)の人気が高まるなど、新たな内部競争に直面した。直接的なライバルではないものの、これらの車種は価格面でゴルフに近い位置にある。プジョーのモデルが最後に欧州市場で販売首位になったのは、2007年のプジョー 207であった。

 

ゴルフは、モデル別ランキングで1位から5位に転落した。ダチア サンデロ(Dacia Sandero)は、フランスでの旺盛な需要が継続したことで、2021年に達成したポジションを維持し、欧州で2番目に販売台数の多い車種となった。欧州で最も売れているSUVであるフォルクスワーゲンT-Roc3位を確保し、BEVバージョンのおかげで再び好調だったフィアット500が続いた。

 

その他の注目すべき結果は、15万台以上を記録し最も売れたC-SUVとしてトップ10入りしたヒュンダイ ツーソン(Tucson)や、新型となったおかげでキア スポーテージ(Sportage)も印象的な55%増となり、オペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)は34%増で、ステランティスのSUVの中で3位となった。新型プジョー 30880%増で、クプラ フォーメンター(Cupra Formentor)は68%増となり、どのセアト(Seat)のモデルよりも売れた。ルノー アルカナは82,000台近くを販売し、フォルクスワーゲン タイゴ(Taigo)は最初の1年間で67,400台を販売した。ダチア ジョガー(Dacia Jogger)が55,300台、兄弟車のダチア スプリング(Dacia Spring)が48,800台(77%増)、MG ZS2021年の27,700台から2022年には46,100台に増加、BMW4シリーズが4100台(36%増)。ヒュンダイ アイオニック5IONIQ 5)の37,600台は、クプラ ボーン(Cupra Born)の32,400台、ポールスター 232,300台(68%増)を上回る台数であった。

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