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SUVセグメントが初の欧州年間ベストセラーの座に

  • セグメント別の登録台数でSUVが伝統的なセグメントを上回りトップに
  • 年間で120万台を上回った小型SUVの好調なセールスがセグメント全体の成長を牽引
  • サブコンパクト、コンパクトの両セグメントはSUVセグメントの成長に後れをとる
  • MPVや大型/ ラグジュアリーセダンの各セグメントは前年比で大きく落ち込む

2015年のヨーロッパ市場新車登録台数は、SUV車のブームに引き上げられるように、前年比+9.3%のプラス成長となりました。また昨年は、ヨーロッパの新車市場の歴史で初めて、セグメント別の販売台数で、サブコンパクトやコンパクトといった他の伝統的なセグメントを抜き、SUVがトップに立った年となりました。SUVセグメントの2015年の販売台数は、前年比24%増となるおよそ320万台に達し、マーケットシェアも前年の19.8%から22.5%に拡大、サブコンパクト(22.0%)やコンパクト(20.6%)を上回り、シェア別でも首位に浮上しました。マーケットシェアの点で見ますと、SUVと中型セダン/ ステーションワゴン、スポーツカーの各セグメントのみが、前年比でシェアを伸ばすことに成功しています。

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SUVセグメントが首位に

SUVセグメントの成長は、セグメント全体の登録台数の38%を占めた小型SUV車の目覚しい伸長のおかげということも出来るかもしれません。小型SUV車の2015年のセールスは前年比+38%に及び、初めて100万台を突破、120万台に達しました。しかしその小型SUV車も、トータルの販売台数では依然、SUVセグメント全体の40%を占めるコンパクトSUV車に及びません。また、成長という点では、中型SUV車の記録した前年比+42%という数字が、小型SUV車の実績を上回っています(中型SUV車の2015年の販売台数は470,400台)。そして大型SUV車が前年比27%増の243,000台を数えました。SUVの登録台数は調査対象となった29ヶ国全てにおいて伸びており、特に英国では、域内最大の上積みとなる、前年実績+129,200台の630,400台が新たに登録されました。また、ポルトガル、スペイン、デンマーク、クロアチアそしてギリシャの各マーケットで、いずれも前年比+40%の高成長を記録しています。

Chart 2

ブランド別で見ますと、NissanSUVセグメントで376,000台を販売し、また同セグメントの11.8%のシェアを握り、首位に立ちました。ただ、前年比の伸びという点では、Nissanのパフォーマンスはセグメント平均を下回る結果となりました。次いで、2年連続でRenaultSUVセグメントのセールスランキング2位となりました。トータルの台数でこそ2位となりましたが、新たに市場に投入したKadjarの好調が、同セグメントにおけるRenaultブランドの前年比44%増という、ライバルを上回る目覚ましい成長を後押ししました。結果として、RenaultSUVセグメントにおけるセールスで、前年比微増(+1.4%)に留まったVolkswagenを抜くことに成功しています。また、セグメント内シェアの成長率という点では、Fiatとその新型500Xが前年と比べて最も占有率を伸ばしたブランド/ モデルとなり、CitroenJeepがそれに続きました。

Chart 3

サブコンパクトとコンパクト

B、続いてCセグメントが、それぞれ2014年から1つ順位を落とし、セグメント別の販売ランキングで2位と3位に入りました。サブコンパクト車の新車登録は前年比5.8%増の312万台となりました。チェコ共和国、デンマーク、フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキアそしてスロベニアといった国々では、昨年もサブコンパクト車が最も人気を博していました。B/ Cセグメントのマーケットリーダーは、同セグメントの10.5%のシェアを占めたVolkswagenブランドで、僅差(シェア10.4%)Renaultが続き、同セグメントのベストセラーカーであるFiestaを擁するFord3位となりました。前年比で大きく台数を伸ばしたのは、Skoda (+18%)Mini (+44%)Mazda (+46%) そしてMitsubishi (+35%)といったブランドです。

セグメントを問わず、全てのモデルの中での欧州ベストセラーカーであるVolkswagen Golfを擁しながらも、コンパクトセグメントは2015年、前年比5.6%の販売増に留まり、シェアを落としました。ドイツ、フランス、英国という、ヨーロッパ三大市場におけるセールスが低い伸びに終わった影響を受けてしまった模様です。コンパクトセグメントにおけるVolkswagenブランドの優位は明白で、2位以下につけるFordSkodaに大きな差をつけています。同セグメントにおいて前年比二桁成長を成し遂げたのはPeugeotMercedesでした。また、Nissanは前年の153%に達する大幅な販売増を記録しています。

MPVセグメントは201512月に前年比-1.8%となるなど、昨年、最も販売台数を落としたセグメントとなってしまいました。ドイツにおける前年比+3.6%、スペインの同+4.7%という記録も、英国 (-17%)、イタリア (-4.6%)、フランス (1.7%)といった大市場における落ち込みを相殺するまでにはいたりませんでした。小型MPV車の前年比-11.5%という販売台数の大幅なマイナスが、全体のボリュームを萎ませた格好です。一方、同じMPVセグメントでも、コンパクトMPV車は、BMWの新しい2-Series Active/ Gran Tourerの良好なセールスに牽引され、好調でした。MPVに続いて、販売台数のセグメント別シェアで5番手につけたのは、前年比12.8%増と顕著な伸びを示した中型セダン/ ステーションワゴンセグメントで、シティカーセグメントを上回る9.05%の市場シェアを獲得しています。市場投入された新型Volkswagen Passatと、新型Mercedes C-Classの好調がセグメント全体の成績を引き上げました。

Chart 4

「米国市場で見られるSUV車シフトと同様に、ヨーロッパの消費者の嗜好も、SUV車に向いてきています。2015年の市場の成長の大部分はSUVセグメントによってもたらせれており、これは消費者が、伝統的なセグメントやMPV車から、SUV車やクロスオーバーに移行してきていることを示しています。経済的、また社会的なファクター、例えば原油価格の低下やSUVの魅力の向上が、同セグメントのブームに大きく影響しているといえるでしょう」、JATO Dynamics社のグローバル・オートモーティブ・アナリストであるFelipe Munozはこのように述べています。

終わり

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