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6月 5, 2017 by Tetsu Nagayama

2017年4月欧州新車販売台数速報

欧州新車販売台数は前年同月比-7.1%となり、2013年3月以降最大の落ち込みを記録

 

  • 主要国での増税や販売インセンティブ低下により、欧州新車販売台数は前年同月比を7.1%下回る
  • ディーゼル車が前年実績-15%と大幅減、市場全体の下げ幅を大きく下回る
  • VOLKSWAGEN GOLFが前月首位だったFORD FIESTAを抑え、再び首位に返り咲く

欧州自動車産業は前月の10.8%増の193万台から一転し、前年同月比-7.1%の122万台を記録。これは2013年3月以来最大の下げ幅であり、前月のイギリス、イタリアでの駆け込み需要の反動などの影響が考えられる。

 

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国別に注目すると、主要5ヵ国のうち、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの4ヶ国でマイナスを記録、微増ではあるが、唯一プラスを記録したのはスペインの+0.8%であった。今回最も減少幅が大きかった国は、イタリアの-24.2%であった。これはメーカーによる販売インセンティブ施策水準の低下が民間需要を停滞させたことが一因となっている。またイギリスでは自動車に関する増税 (VED)が、この4月から導入され、この影響で前年同月比-19.8%と販売台数を落とした。欧州最大市場のドイツでも前年同月比-8%、フランスでも-6.2%と販売が振るわなかった。

セグメント別に注目すると、コンパクトセグメントが-11.9%と大きく販売を落とした。続いてサブコンパクトセグメントが-9%、MPVセグメントが-21.3%と販売が落ち込んだ。一方SUVセグメントは力強い成長を維持しており、前年同月比7.2%と順調に伸びたものの、他のセグメントでの2桁減の落ち込みを補うのに十分ではなかった。

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燃料タイプ別では、ディーゼル車が前年同月比-15%とディーゼル車離れの傾向が見え始めており、この結果市場に占めるディーゼル車の割合は前年同月の50%から46%まで縮小した。

JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べている。
「欧州市場でのディーゼル車の人気に限りが見え始めている。この要因はいくつか考えられるが、2015年に発覚したディーゼル不正問題(“ディーゼルゲート” スキャンダル )が、ディーゼル車離れの発端であることは間違いない。一方で各政府はディーゼル車所有者を対象にした新法令を検討しとおり、イギリスでは買い替え補助金制度(ディーゼルスクラップインセンティブ)が現在協議されている。新法令と歩調を合わせて、メディアでも引き続き消費者にディーゼル車の購入を出来る限り敬遠するよう促している。また、電気・ハイブリッド車種の需要が広まりつつある中、ディーゼル車離れが起きているという事実はなんの驚き、不思議な事でもない。」

ブランド別では、欧州3大自動車メーカーのマーケットシェアはそれぞれ縮小している。欧州最大の自動車メーカーのVWグループはコンパクト車の販売減が影響。PSAは全てのブランド (OPEL/VAUXHALLも含む) において販売減。一方で、RENAULT NISSANはイギリスでの販売減 (-20.7%)が大きく影響し各メーカーそれぞれマーケットシェアを落とした。日系ブランドに注目すると、TOYOTAが前年同月比+2.5%を記録しブランド別ランキング11位。続いてNISSAN -14.5% (16位)、SUZUKI +9.1% (19位)、MAZDA -10.9% (21位)、HONDA -21.8% (23位)、SUBARU -24.5% (32位)であった。

モデル別では、VOLKSWAGEN GOLFが先月首位のFORD FIESTAから首位を奪回した。その他注目するモデルは、新型PEUGEOT 3008が好調な販売を記録しSUVセグメント5位にランクインし、マーケットシェアを最も大きく拡大したモデルとなった。日系ブランドでは、NISSAN QASHQAIが前年同月比-5.2%のモデル別ランキング11位、TOYOTA YARISが27位 (-19.1%)、また今年始めに発表された新型C-HRが 43位、AURISが44位 (-20.7%)にランキングされている。

以上

Download file: 2017年4月欧州新車販売台数.pdf