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8月 29, 2017 by Yoshihito Aoyagi

2017年7月欧州新車販売台数レポート

  • 欧州市場の新車販売は、約119万台で前年同期比2.6%増となったが、英国市場では先月に引き続きマイナスに
  • ローカルブランドの需要が伸びたフランス市場が欧州全体の成長に大きく貢献
  • Volkswagen T-ROCが投入される小型SUV(B-SUV)が前年同期比で16%増、シェアを全体の10%に伸ばす

 

 

欧州自動車産業は引き続き成長しており、2017年7月は前年同月比2.6%増の119万台を記録した。この数字は、2009年以降では最高の販売台数となっており、また本年累計では2008年以降で最も高く、リーマンショック前である2007年と同水準となった。その中で、フランスでは、堅調な個人消費や国産ブランドへの需要増が影響し、販売台数が大きく伸び、前年同期比で10.8%増となった。対照的に、BREXIT(ブレグジット)による経済への影響が未だに不透明なイギリス市場は、先月に引き続きマイナスとなり前年同期比で9.3%減となっている。その他、注目すべき市場としては、ポーランドが目覚しい成長を見せ、前年同期比17.8%増を記録し、欧州で第6の市場となった。

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セグメント別では、中型セダンやMPV等の従来セグメントは販売台数を落としている一方で、7月の多くの新車購入者が小型から中型のSUVを選択している。今月のSUVの販売台数は、前年同期比18.3%増の約35万台となっており、結果として29.4%のシェアを記録した。その中でも10%以上のシェアを獲得した小型SUVが販売を伸ばしており、前年同期比で16%増の約12万台が販売され、本年累計ではおよそ100万台となっている。この販売の伸びには今年度発表されたToyotaのC-HRやAudi Q2、Opel/Vauxhall Crossland X、Mini Countryman等が大きく貢献している。

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JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「今期の欧州市場は、成長率の若干の鈍化やBREXIT(ブレグジット)の影響を受けているイギリス市場の停滞が見られたものの、全体的には好調だったといえる。セグメント別では、小型SUVへのシフトが明確に見え始めており、今後の競争が激しくなるだろう。現在、欧州市場で販売され、今後のモデルチェンジが予定されるPeugeot 2008やNissan Juke、Fiat 500Xといった小型SUVモデルは、その中で販売台数を落としているが、顧客の需要は引き続き存在している。またこの小型SUVセグメント市場に投入されるVolkswagen T-ROCは、新型の発売を控えるNissan JukeやDacia Dusterといったライバル車と同様に、同市場に大きな影響を与えるだろう。この重要な市場に、欧州で最も販売台数が高いブランドであるVolkswagenが本格的に参入した意味は非常に大きい。」

 

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ブランド別で見ると、マーケットシェアトップのVW Groupのシェアが昨年の24.8%から、24.5%に減少しているが、販売台数は、1.2%増加させている。この増加にはSeatブランドやPorscheブランドの好調な販売が貢献している。日系ブランドの販売に注目すると、TOYOTAが前年同月比 +21.6%を記録しブランド別ランキング10位。続いてNISSANが14位、SUZUKIが +15.5%の19位、MAZDAが +2.1% の20位、HONDAが -10.3%の23位、MITSUBISHIが +10.8%の24位であった。モデル別では、Skoda Octavaが好調な販売を見せ、ランキング4位につけている。また、新型のToyota YarisがCorsaやC3をかわして8位にランクインした。その他、販売が好調だったモデルとしては、Peugeot 3008 SUVやToyota C-HR、Audi Q2、Citroen C3、Peugeot 5008 SUVがあげられる。日系ブランドでは、NISSAN QASHQAIが前年同期比 -4.3%のモデル別ランキング6位、TOYOTA YARISが8位(+15.0%)、またC-HRが41位、AURISが 44位(-9.0%)にランキングされている。

以上

Download file: 2017年7月欧州新車販売速報.pdf