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12月 22, 2017 by Yoshihito Aoyagi

2017年11月欧州新車販売台数レポート

  • 欧州市場の新車販売は、約125万台で前年同月比5.2%増
  • SUVのシェアが前年同月から4.3ポイント上昇し、31.9%を獲得
  • モデル別販売では、Volkswagen Golfが首位を維持し、Peugeot 3008 SUVが前年度より大きく販売増に

 

 

2017年11月の欧州自動車市場は、前年同月比5.2%増の約125万台と堅調な成長を見せている。停滞が続くイギリス市場では減少(前年同月比11.2%減)したが、その他のメイン市場であるフランスやスペイン、ドイツや、中規模市場のオランダやオーストリアでも好調な販売が記録されたため、全体で増加となっている。2017年は、ディーゼル危機や新排出ガス規制、Brexit等、自動車産業に影響を与える出来事が多く起こったが、それにも関わらず今年度の累計販売は前年同期比で3.8%増の約1,443万台となっている。

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成長の要因はSUVへの需要増であり、このセグメントの販売は、前年同月比で21.6%増の約40万台を記録した。現在SUVは、欧州市場全体の31.9%を占め、前年同月の27.6%より4.3ポイント増加している。

SUVセグメント内では、スモール(B-SUV)、コンパクト(C-SUV)、ミッドサイズ(D-SUV)が、それぞれ前年同月比25.5%増、16.6%増、41%増となっている。欧州市場内で特にSUVがポピュラーな国のエストニアやラトビアは、それぞれSUVのシェアが44.1%、39.5%となった。またデンマークやポーランド、ノルウェーでもSUVのシェアは著しく増加している。メーカーグループ別では、PSAがPeugeotとOpel/Vauxhall、CitroenのSUVモデルで好調な販売を見せ、前年同月比で70.2%増となり、このセグメントではVWグループを上回っている。一方で、19.8%のシェアを持つルノーはSUV市場の成長をあまり活かせておらず、前年同月比2.4%増に留まった。

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JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは今期の欧州市場について次のように述べている。
「新たな排出ガス規制やBrexit、ディーゼル危機、SUVへの需要増など、欧州の自動車産業は様々な変動に直面しているが引き続き成長を見せている。将来に目を向ければ、多くのメーカーが厳しい市場の中での成長の手段としてSUVセグメントを見ている事は明らかであり、結果として従来の主要セグメントのシェアが減少することになるだろう。例えばMPVセグメントは、既に影響が出ており、今月の販売は前年同月比で11.3%減の87,400台で市場シェアが7%に留まった。また、Citroen C3 PicassoやOpel/Vauxhall Meriva、Nissan NoteなどのB-SUVに対して競争力が低くなったモデルは販売終了となっている。」

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今月はVWグループがシェアを0.3%落としたものの、24.5%を獲得しトップシェアとなった。好調な販売を記録したPSAが2番手につけている。FCAがホームマーケットであるイタリアで販売減からシェアを落とした。日系ブランドの販売に注目すると、Toyotaが前年同月比 +9.6%を記録しブランド別ランキング10位。続いてNissanが -5.6%の15位、Suzukiが +20.1%の19位、Mazdaが +13.8% の21位、Hondaが -0.7%の23位、Mitsubishiが -5.4%の26位であった。

モデル別では、Volkswagen Golfが販売台数トップを維持している。また、Peugeot 3008 SUVが前年同月比で大きく販売を伸ばしシェアを拡大した。日系ブランドでは、Nissan Qashqaiが前年同期比 -0.4%のモデル別ランキング8位、Toyota Yarisが10位(+9.3%)、Toyota Aurisが 46位(-8.4%)、Toyota C-HRが 50位にランキングされている。

以上

Download file: 2017年11月欧州新車販売速報.pdf