2023年6月欧州新車販売台数速報
2023年上半期に、欧州で最もマーケットシェアを伸ばしたのはテスラとMG
- 2023年上半期の新車販売台数は前年同期比17%増加し、6月は18%増
- 年初来累計では、テスラが最も売れたBEVブランドとなる
- 中国メーカーは欧米メーカーに追いつくのに苦戦
2023年6月も欧州の新車販売台数は好調で、その好調さのまま上半期を締めくくった。JATOが調査した欧州28カ国のデータによると、2023年上半期の販売台数は656万台で、新型コロナウイルスが流行して以来最多となった。これは2022年上半期と比較して97万6,000台、2021年同期と比較して8万台の増加である。しかし、これまでのところ2023年の実績はコロナ禍以前ほど高くはなく、2019年上半期は186万台、2018年同期は213万台も販売台数が多かった。
JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「販売台数は再び徐々に増加しているが、サプライチェーンの困難や、その他のコロナ禍以降の要因により、市場はしばらくの間、2020年以前と同じ状態に戻ることはないだろう」と話している。過去の販売台数を取り戻す上での大きな障壁は、電気自動車の利用しやすさとその価格の高さである。
テスラがオペル、シトロエン、フィアットを圧倒
テスラは、当月前年同月の2倍となる4万8,200台を販売し、6月および上半期のBEV市場において、販売首位となった。テスラ モデルYは、同ブランドの継続的な人気をけん引し、2023年6月および上半期に欧州で最も売れた乗用車となり、第1四半期に世界で最も人気のある乗用車として君臨した。
当月のテスラの販売台数は、オペル/ボクスホール(Opel/Vauxhall)、シトロエン、フィアットといった他の主流ブランドよりも多く、前年同月比でモデルYの台数は95%、モデル3の台数は117%増加した。このことで、テスラは最大のマーケットシェア拡大を達成している。
テスラのマーケットシェアは2022年上半期から2023年上半期にかけて1.3%ポイント上昇し、1.53%から2.82%に拡大した。2019年上半期のシェアがわずか0.54%であったことを考えると、テスラの成功はここ数年で急速に拡大している。Munozは「ドイツでの現地生産が始まったことで、納車可能な車両が増えたことや、価格引き下げが、最近のテスラの急成長を説明している。また、テスラが世界中の多くの人々にとってEVを代表する存在であり、今日ますます多くの人々が電気自動車に乗り換えるようになっていることも重要だ」と指摘した。
マーケットシェア拡大ではMGが2位
MGも欧州の自動車市場を震撼させている。かつてはイギリスのブランドだったが、現在はすべて中国最大のメーカーのひとつである上海汽車集団(SAIC Group)が設計、開発、生産している。2023年上半期の販売台数は10万4,300台で、MGはミニ、クプラ(Cupra)、ジープといった他の主要ブランドを上回った。MG 4の成功もあり、その販売台数は2022年上半期から128%増加し、MGは今年上半期で2番目に高いマーケットシェアの伸びを記録した。
Munozは「MGは、欧米におけるブランドの知名度と中国市場の競争力の両方を活用している。西洋と東洋の両市場における、魅力的で現代的、かつ手頃な価格の電気自動車は、中国メーカーがいかにしてより多くの支持を獲得し、製品に対する認識を変えることができるかを示す良いお手本である」と付け加えた。
中国自動車メーカー、競合他社を上回るには苦戦
MGは別として、中国の自動車メーカーは、アナリストの予想ほど早くけん引力を増してはいない。Munozは「現在のところよく話に上がるのは、欧州における中国メーカーの大きな可能性についてである。可能性は確かにあるが、販売台数はそれを反映していない」と続けた。JATOのデータによると、欧州で販売されている26の中国製造の自動車のうち、2023年1月から6月までの販売台数は4万3,101台で、シェアはわずか0.66%に過ぎない。とはいえ、前年同期のシェアは0.43%であり、依然として成長を続けている。MGを含む中国メーカーのシェアは2.25%で、14万7,394台である。
「このような競争の激しい市場で継続的に成長するのは容易なことではなく、特にブランドが無名で、製品が消費者に普及するまでに時間がかかる場合はなおさらである。成長を見るためには、欧米における中国メーカーの自動車に対する認識を変える必要がある」とMunozは付け加えた。
テスラ モデルYが再び首位
2022年9月以降、テスラ モデルYは欧州での月間モデルランキングを上昇し、11月、12月、2月、3月、6月に首位を獲得している。また、2023年第1四半期、上半期ともにランキングの1位と2位の差が、1万1,481台から1万3,156台に広がっていることも注目すべき点である。当月モデルYは、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスで1位となった。ノルウェーでは最も人気が高く、新車販売のほぼ4台に1台がモデルYであった。ダチア サンデロ(Dacia Sandero)の販売台数は前年同月比27%増の12万3,400台で、欧州市場で2位を維持した。興味深いことに、モデルYとは事実上対極に位置する、内燃機関を搭載した小型で安価なハッチバックである。総合ランキングで2位となったことは、地域による所得の違いを示している。例えばフランスでは、テスラ モデルYはダチア サンデロ(Dacia Sandero)より3万7,000ユーロ(または231%)近く高かった。
その他のブランド
シュコダ オクタビア(Skoda Octavia)も2022年上半期から2023年同期にかけて大きくシェアを伸ばした。以下、ダチア ジョガー(Dacia Jogger)、トヨタ ヤリスクロス、ルノー クリオ(ルーテシア)、フォルクスワーゲン ティグアン、ルノー メガーヌ、MG ZS、フォルクスワーゲン ID.3およびID.4、フォード フォーカスと続く。一方、減少幅が大きかったのは、トヨタ RAV4、プジョー 208、トヨタ カローラ、オペル/ボクスホール クロスランド(Opel/Vauxhall Crossland)、フィアット パンダ、シトロエン C3、プジョー 3008、フォルクスワーゲン ゴルフ、ルノー ゾエ(Zoe)、キア ニロ(Kia Niro)であった。
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