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5月 16, 2017 by Tetsu Nagayama

世界サイドエアバッグ調査レポート – 標準化の傾向2分化

1. サイドエアバッグ(前席)標準設定率(販売台数ベース)
米国とドイツでは2012年以前から既にサイドエアバッグの標準設定率は90%を超えており、2016年には97%と新車市場のほぼすべての車両にサイドエアバッグが搭載されていること判明した。
翻って日本市場においてはその率はまだ低く、2012年は27%であったが2016年にようやく41%まで上昇した。他市場と違い、軽自動車があることも一因だが、サイドエアバッグのオプション設定率が3割もあることが主な原因である。(他市場はほぼオプション設定なし)
中国市場では2012年から既に日本の設定率を上回る38%となっており、2016年には55%まで伸び日本との差を14ポイント広げている。メキシコ市場においては過去5年間ほぼ変動がなく、市場の約33%の車両にサイドエアバッグが標準設定されている。東南アジアのタイでは、2012年に新車販売台数ベースで僅か7%しかなかった設定率が2016年には28%まで上昇し、安全装備に関する市場の要求が高まっていると推測される。

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2. 日本サイドエアバッグ標準装備状況
サイドエアバッグが標準装備されている車両の中では、2012年から2013年にかけてトヨタが圧倒的に高いシェアを誇っており、販売台数が多いということ以外に比較的早くからサイドエアバッグ標準設定のモデルを導入していたことが分かる。モデル別でいうと、同期間は特にPrius/Prius αでの標準設定化が大きく影響している。2014年以降トヨタのシェアが落ちているのは、相対的に他メーカーによる標準設定化が進んだものである。2014年以降はホンダが急激にシェアを伸ばしたが、これはVezelの販売本格化が大きく影響している。ダイハツは販売台数の多くが軽自動車であるにも関わらず、タント、ミラ、ムーブの上級モデルへのサイドエアバッグ標準装備化の影響で2014年以降のサイドエアバッグ標準装備車のセグメント内シェアを伸ばした。日産は台数シェアではマツダの倍以上の差があるものの、エアバッグ標準装着率の観点ではマツダに抜かれていることが分かった。

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3. 日本軽自動車サイドエアバッグ装備状況
2012年には軽自動車セグメント内でのサイドエアバッグ標準設定率は僅か8%以下であり、オプション設定率も9%前後に留まっていた。然しながら、2016年には標準とオプション設定率あわせて約50%まで向上した。但し、標準設定の率でいうと2014年の21%が最高で2015年、2016年にかけてその率は少しずつ減少している。一方で、オプション設定しているモデルの販売台数は伸びており、2012年には僅か10%だったものの、2016年には33%まで伸びている。
サイドエアバッグが標準設定されているセグメントをメーカー別でみると、ダイハツの数字が非常に高く、2016年では全体の62%がダイハツのモデルである。2位は日産の25%であり、その他メーカーは夫々概略5%以下に留まる。スズキは2016年に至るまで、オプションでも標準でもサイドエアバッグの設定がない。

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4. 中国サイドエアバッグボディータイプ別トレンド
中国でもボディータイプ別にエアバッグの装着率はかなりことなっていることが分かる。たとえば、M I N I M P V のセグメントでは2 0 1 2 年には全体の9 7 % にサイドエアバッグの設定がなかったが、この数字は2 0 1 6 年に7 9 % まで下がり、セグメントの2 1% にサイドエアバッグが標準装備されることとなった。一方で、S U V セグメントに目を向けると2 0 1 2 年から既にセグメントの6 4 % にサイドエアバッグは標準装備されていた現実があり、2016年にこの数字は67%に達した。MINI MPVセグメントは車両販売価格帯が低く、基本的には現地ブランドがシェアをとっているセグメントである。SUVは現地メーカー以外にもホンダ、現代、FORD、BUICK、トヨタがシェアを争っており車両販売価格も比較的高めであることがサイドエアバッグの設定率に影響しているものと思われる。

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