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5月 17, 2017

代替燃料自動車の現状

ハイブリッド車が市場をリード・車両価格に課題

 

HEV (HYBRID ELECTRIC VEHICLE)
代替燃料自動車(AFV)の中でハイブリッド車(HEV)が消費者から最も支持され続けている。その理由は以下の通り。

    1. EVに限りなく近いモデルであり、AFVの中で最初に市場へ投入された。
    2. ガソリン車とEVとの中間地点を埋めるための唯一のAFVであるため、グローバルマーケットにおいて堅調なシェアを獲得した。
    3. ガソリン車の販売台数と比べると、その販売量は大きく引き離されてはいるが、着実に伸びており2016年1月~8月の前年同期比+17.7%を記録し、そのポジションを確立している。
    4. 原油安等でガソリン車、特にSUV車を好む経済状況にもかかわらず、このカテゴリーへの投資や改良などがプラス要因となり、2016年1月~8月の世界HEV乗用車総販売台数は141万台を記録。前年同期比+212,000台となった。
      hybrids_hev

 

ガソリンエンジンを搭載したSUVが顧客に支持されており、2016年1月~8月の販売台数1,500万台と前年同期の1,250万台から大幅に増加している。HEVにおいても前年同期比で成長を続けている。この結果からハイブリッドSUVを求めている人々のニーズを的確に把握・対応すれば、HEV販売がさらに大きく伸びるチャンスがあることを示唆している。ハイブリッドSUVは2016年1月~8月のハイブリッドカテゴリーの12%を占めており、前年同期の8%と比較して大きく飛躍している。世界で最大のハイブリッド市場であるにもかかわらず、SUVの普及率が低い数少ない国の一つである日本では、歴史的に政府が小型車を助成する傾向にあり、SUVは市場の10%を占めるに止まった。
2009年に日本政府によって導入されたインセンティブには、ハイブリッドカテゴリーの初期成長を刺激する補助金や税制が含まれており、今日の日本においてハイブリッドカテゴリーが主流となった。補助金制度は2012年に終了しているが、日本のHEV市場は2016年1月~8月において世界全体販売台数の61%を占めており、前年同期比+20.9%の大幅な増加となった。この結果から、日本では消費者の需要を刺激するインセンティブはもはや必要とされていないことがわかる。日本は世界で最大のHEV市場を誇っており、2016年1月~8月までの日本市場で販売されている乗用車の31%をHEVが占め、2020年までに政府目標を18%上回ることになる。ノルウェーは同期間の国内HEV占有率を11%とし第2位。韓国は同期間に40,800台のHEVを販売し、国内マーケットシェアは4.1%となった。米国と中国の普及率はそれぞれ1.9%と0.4%。欧州ではHEVが同期間の総登録台数の1.6%を占た。この好調な動向は自動車メーカーのHEVの販売戦略に大きく影響を及ぼした。日本の自動車メーカーは2016年1月~8月間でトップ4を独占した。この日本のブランド優位性は、日本の好調な国内市場のおかげであり、世界HEV販売台数シェアの52%を占めている。グローバルマーケットの65%を占めた世界第1位のTOYOTAに続き、SUZUKIがHONDAを上回り第2位となった。SUZUKIは、日本で人気を集めた軽自動車の好調な販売のおかげで前年同期比+128%を達成した。HONDAは、FITやACCORDのHEVの販売台数が減少したことで順位を下げた。4位にはNISSAN。日本の自動車メーカー以外では、HYUNDAIがHEVの好調な販売でランキングを5位へと押し上げた。また、DAIMLERは欧州のリーダーとなった。

PHEV (PLUG-IN HYBRID ELECTRIC VEHICLE)
HEVとは対照的にプラグインハイブリッド車(PHEV) の販売台数は、外部電源を必要とする充電の不便さと比較的高い価格が影響し、世界的に著しく低下している。2015年度に世界中で20万台に到達した後、2016年8月までの8ヶ月間で売上高を68%伸ばし、176,600台が販売された。そのうち43%は中国、35%は欧州、16%は米国であった。中国の自動車メーカー BYD AUTOは、2016年1月~8月にPHEVの販売台数を57,100台とした。これは世界全体の販売台数の32%を占める。続いて、VOLKSWAGEN GROUPは14%、BMW GROUPは12%であった。BYDはEVとPHEVの総販売台数を15万台にするというと高い目標・意欲を持っており、2016年には2015年6月に中国市場で発売したプラグインハイブリッドSUV T ANGをグローバルマーケットへ投入し、23,800台と好調な販売を維持している。TANGと同じくPHEVであるMITSUBISHI OUTLANDER、BMW X5、VOLVO X C90などのSUVは、PHEV車総販売台数の44%を占めた。比較すると、通常のHEV世界販売量のちょうど12%であった。SUVの世界的人気は、PHEVの売上高の増加を押し上げたかのように見えるが、PHEVの高い価格帯は、当面の間は主流化を制限する可能性が高い。最も安いモデルでも車両平均価格は31,533 USDである。

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PURE ELECTRIC PASSENGER CARS (BEV)
2016年1月~8月で完全電気自動車(BEV)の売上高が前年同期比+30%を記録したが、PHEVの力強い成長を上回ることは出来なかった。世界需要の40%を占める中国(米国の2倍、欧州31%を上回る)を中心に、2016年1月~8月の世界総販売台数は172,700台となった。中国と日本は前年同期比で好調な伸びを示したが、欧州では微増の+2.4%、米国は-19.4%と減少した。これら最新の結果は、中国と米国では真逆の傾向があることを示している。米国の消費者需要は燃料価格の低迷、バッテリー容量の限界などに含め、SUVとトラック以外の全てのセグメントの減速によって、BEVの販売を妨げていると考えられる。2016年8月時点で米国市場の完全電気自動車(BEV)SUVは僅か2モデルしかなく、BEVピックアップは販売されていない。このような状況にもかかわらず、シリコンバレーのTESLA MO TORSでは、バッテリーの改良や新型MODEL 3を投入して低価格セグメントからの顧客獲得、また最新の産業計画「MASTER PLAN, P ART DEUX」では電動ピックアップの発売を計画している。

EXTENDED RANGE EV (EREV)・燃料電池自動車(FCEV)
EXTENDED RANGE EV(EREV)と燃料電池自動車(FCEV)は、世界でもまだ稀な存在である。2016年1月~8月では28,500台のEREV、約1,200台のFCEVが販売され、前年同期比で大幅な伸びを記録した。EREVの売上高は前年同期+43.6%と急成長を記録し、主にCHEVROLETVOLT、GAC TRUMPCHI GA5の好調な販売が起因した。一方でBMW I3 REXの販売は安定期に達し、その他モデルの販売も低調に留まった。この期間中FCEVに関しては、ミドルセダンモデルのTOYOTA MIRAI が1,140台を販売した。これは、車両平均価格63,053 USDと高額な設定にもかかわらず、堅調な実績である。

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価格について
HEV はガソリン車とEV の中間的な位置づけとなっており、電気自動車よりも安価で便利なだけではなく、ガソリン車やディーゼル車に見られる伝統的なデザインも多く、多くの消費者から支持されている。JATOの仕様装備・価格データで全てのEVとHEVを比較すると、H E V が最も手頃な価格設定であることが分かる。フルハイブリッド車(FHEV)とマイルドハイブリッド車(MHEV)を含むこれらのHEVは、2016年1月~8月の間で販売された車両平均価格が27,875USD であった。この価格は全ての電気自動車よりも安価であり、EVとHEVのグローバルマーケットを79%占めている主な理由の一つである。BEVが使用するバッテリーやテクノロジーの研究開発に莫大な投資がされていることはよく知られていることである。当然、これらは消費者の最終的な価格に影響を及ぼす。EVの車両平均価格は42,588 USDであり、この価格はHEVと比較して+53%にもなる。多くの国々で補助金制度を実施し、さらに2010年以来大幅に価格が下がってきているのにもかかわらず、バッテリーの高い開発コストが影響し販売に苦慮している。PHEVには、バッテリーと様々なコンポーネントが搭載されているため、車両が高価になってしまう。2016年1月~8月に販売されたPHEVの車両平均価格はBEVより17%高く、HEVより79%も高い49,840 USD であった。しかしコンセプトは、ドライバーがガソリンエンジンの代わりに電気を使用してバッテリーを充電可能にすることであり、これは走行中にバッテリーが切れるという不安のないBEVであるとも言える。PHEVよりもさらに高価な燃料電池自動車(FCEV)は、限られた水素インフラによって販売に深刻な影響を受けている。実際にHYUNDAI IX35(米国名: TUCSON)、TOYOTAMIRAIの2車種しか販売実績がない。FCEVの車両平均価格は63,243 USD 。対照的にEREVの車両平均価格は38,873 USDであった。

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以上。

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