2019年8月欧州新車販売台数速報
ダチアが8月の欧州販売上位5車種に
2モデルを送り出す快挙を達成
- 欧州自動車市場は、2018年8月のWLTP導入前の登録急増が影響し、前年同月比7%の下落
- ダイムラー、スズキ、フォードが当月最もマーケットシェアを伸ばした
- フォルクスワーゲン ゴルフがランキング首位。ダチア ダスター(Dacia Duster) が続く
- 電気自動車の販売台数は2018年8月比で76%増、2017年8月比では143%増
予想された通り、2019年8月の欧州新車販売台数は前年同月期より減少した。販売台数は1,070,276台と、前年同月比マイナス8.7%となり102,000台減を記録した。対前年比で減少したのは、2018年9月に導入されたWLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)が原因である。自動車メーカーは、新しい排出基準の認証を取得していない車両を一掃する目的で、消費者は特別値引きを利用して購入できる機会を逃さないために、それぞれが自社登録と個人登録を押し進めたためだ。2017年8月と比較して、2018年8月は30%も台数を伸ばしていることからも、いっそう明らかである。
予想通りの販売減とはいえ、2019年8月の結果は見かけほど悪いものではない。「昨年8月期は特筆すべき成長を記録したため、当月の下落はもっと大きなものとなる可能性もあった。そう考えれば、1桁台の下落は、予想よりも良い結果であると言えるだろう。より重要なのは、2019年8月は、過去10年間の8月期において2番目に高い数字であったことだ。事実、当月の台数は2017年8月より19%多く、月間販売台数が100万台を超えたのは、2018年8月を除いて、この時のみとなっている」と、JATOグローバルアナリストのFelipe Munozは解説する。
年次累計台数で国別のランキングを見ると、2018年と比較すれば不穏な結果に見えるかもしれない。しかし、2017年と比較すれば、欧州27ヵ国中、スウェーデン、ノルウェー、アイルランド、スイスの4か国のみが減少していることが分かる。
セグメント別の結果からも、同様の傾向が見える。SUVの市場けん引は継続しているが、販売台数は前年同月比3%減の407,700台であった。シティカー(+3%)とスポーツカー(+15%)の2セグメントのみが成長を記録している。しかしながら、266,000台を売り上げ、30%のマーケットシェアを記録した2017年8月と比較すれば、当月のSUVマーケットシェアは38%に拡大している。2017年8月と比較しても、人気が低下しているのは、MPV、ミッドサイズ、エグゼクティブ、コンパクトカーセグメントのみである。
SUVの芳しい結果は、次の3モデルによってもたらされた。ダチア ダスター(Dacia Duster)は、当月のSUV販売首位となり、全モデルランキングにおいても初めて2位となっている。フォルクスワーゲン ティーロック(T-Roc)の人気は衰えるようには見えない。フォルクスワーゲン ティークロス(T-Cross)は、1月以来50,000台以上を販売している。
一方、ディーゼル車販売の急落に、減速の気配はない。当月のディーゼル車販売台数は、前年同月比で23%減、2017年8月と比較すると16%減である。その上ディーゼル車のマーケットシェアは、2年前の42%、昨年の35%から、当月は30%へと継続して縮小している。ディーゼル車が急降下する一方、電動車(BEV:バッテリーEV、PHEV:プラグイン・ハイブリッド、HEV:ハイブリッド)のマーケットシェアは、2017年8月の5.6%、2018年8月の6.0%、2019年8月は7.8%と拡大し、勢いづいている。
2019年8月、電動車の販売台数は83,700台であった。その内、ハイブリッド車は56%を占めているが、中でもメルセデスはレクサスを超える台数を売り上げて、2番目に販売台数が多いブランドとなった。電気自動車(ピュアEV)の販売台数は23,200台であり、2018年8月より76%増、2017年8月より143%増となっている。テスラは、当月BEV(バッテリーEV)販売首位となったモデル3のおかげで、輝かしい結果を残した。
「ディーゼル車の販売不調がすぐに収まらないことは明白だ。テスラの販売台数が各四半期末にピークを迎えることはお馴染みの光景だが、ひと月早い8月にピークを迎えたことはこれまでにない。これは、テスラの人気がとても強いレベルで確立されてきていることを示している。しかしながら、電気自動車(ピュアEV)はますます人気となっているものの、その高額な価格は依然、消費者にとって最大の足かせとなっている」とMunozは説明する。
当月のモデルランキングは、どのモデルが成功しているか、はっきりと示している。近ごろ導入されたフォルクスワーゲン ティークロス(T-Cross)は最もマーケットシェアを伸ばし、販売首位20位へ入る18位に躍り出た。スズキ ジムニー、プジョー 508、シボレー カマロ、プジョー リフター(Rifter)、スマート フォーツー、メルセデス Gクラス、スズキ SX4 S-CROSS、フォード S-Max、スズキ ビターラ(Vitara)、フォルクスワーゲン T6は全て大幅販売増となった。
最新モデルの中で注目すべき結果は、以下の通りである。セアト タラッコ(Seat Tarraco)の3,401台、シトロエン C5エアクロスの4,737台、テスラ モデル3の5,258台、シュコダ スカーラ (Skoda Scala)の4,884台、キア プロシード (Kia Proceed)の1,664台。
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