2019年12月欧州新車販売台数速報
12月の欧州自動車販売台数は21%増加
モデル3が全体販売3位となる
- 人為的な要因により、12月の販売台数は歴史的な結果となった
- テスラ モデル3は電気自動車市場を押し上げ、競合よりも大きく勝る全体販売3位のモデルに
- SUVは5年前よりも20%シェアを拡大させ、当月は過去最高のマーケットシェアを記録した
2019年12月の欧州自動車市場は、またも予測のできない結果となった。合計販売台数は1,258,412台と、前年同月より21%増大し、12月度における過去最高の台数を記録した。これほど月次台数が大きく増えたのは、2018年8月にWLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)導入の影響で人為的に登録台数が増えた時以来である。この時と似て、当月の成長は、自動車業界に影響を与える新しい規制を見るとよく分かる。12月、自動車メーカーは、2020年1月1日より実施される、新しい欧州の排出規制に適合していない、燃費の悪い車を駆け込みで登録させたのだ。
新しい規制は、95 g/kmの二酸化炭素排出基準を設定しており、多くの自動車メーカーにとっていまだ長い道のりだ。そのために登録を急ぎ、通常ではない成長を誘発した。「販売台数の大きな伸びは、一見してよい知らせのように見える。しかし、JATOの最新のデータからはそうとも言えない面も見えてくる。二酸化炭素の排出量は、欧州5大市場において全く改善されていないのだ。事実、その2019年度の二酸化炭素排出量は、10月までの販売台数を加味した加重平均の集計で122.5 g/kmであり、2018年度全体の加重平均値よりも1.2 g/km多くなっている。当月の販売増は、自動車メーカーが近い数年の内に直面する規制の困難さを意味しているのだ」と、JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは話す。
国別の販売ランキングからも同様の傾向が見える。ノルウェーとリトアニアを除いたすべての国で販売台数が増え、27か国中の23か国で2桁増を記録した。「この増加は、2020年に中古車として再販しようと考えている業者による自社登録によるものだろう。例を挙げると、スペインでは販売台数は6%増えているが、その中でも個人登録によるものは7%減なのに対して、法人登録は23%増となっている。フィンランドでは、法人登録が40%増えているのに対し、個人登録はたった3%増えたのみだ」とMunozは説明する。
SUVは当月も好調で、524,500台を売り上げ、全体の42%のマーケットシェアを獲得した。この結果は、昨年12月と比較して42%増である。SUVは欧州の新車販売台数をけん引しているが、二酸化炭素を多く排出し、潜在的な課徴金のリスクをはらんでいる。マーケットシェアは2014年12月の22%から見れば、大きく拡大した。
当月は、スモールからラグジュアリーまで、すべてのSUVセグメントで2桁成長を記録している。フォルクスワーゲン グループは何不自由なく販売台数を72%伸ばした。当グループは、SUVセグメントにおいて22%のシェアを保持し、SUV販売上位10位圏内に3モデルを送り出している。グループ別の販売順位では、ルノー・ニッサンとグループ PSAがそれぞれ2位、3位となった。モデル別では、フォード クーガ(Kuga)がSUV販売首位となり、ダチア ダスター(Dacia Duster)、ルノー キャプチャーが続いている。
電動車もまた、昨年同月比で69%台数を伸ばし、販売台数は132,200台、マーケットシェアは11%と、当月大きな成功を収めている。事実、テスラ モデル3は、2019年を閉める月において、もっとも刺激的な結果を残した。22,100台を売り上げたのみならず、モデル別販売で3位となり、フォルクスワーゲン ポロ、プジョー 208、ニッサン キャシュカイ(Qashqai)、シュコダ オクタビア(Skoda Octavia)の台数をも上回ったのだ。モデル3単体でBEV(バッテリーEV)の販売台数の43%を占めているが、他にも注目すべき電気自動車は存在している。アウディ E-TronはピュアEV(BEV)の販売順位3位となり、ヒュンダイ コナ(Kona)、MG ZSはその10位圏内へ入った。
電動車は、ディーゼル車に対して、目覚ましい勢いで差を縮めている。2018年の12月には、電動車1台あたり4.6台のディーゼル車が販売されていたが、1年経ってその割合は2.9台まで顕著に減った。この理由は、ほとんどピュアEV(BEV)の販売増によるもので、初めてHEV車(ハイブリッド)よりも多く売り上げた。
当月、HEV車(ハイブリッド)の販売台数は48,700 台で、前年同月比41%増となったのに対し、BEV(電気自動車)の販売台数は合計51,600台となり、96%増を記録した。「予想通り、テスラは各四半期の終わりに販売台数に大きな影響を与え、モデル3はセダンに再び脚光を浴びせた。問題は、この傾向は継続するものなのか、あるいは今後の数か月間の間に、電動SUVがテスラ モデル3の人気を止めるのか、ということだ」とMunozは述べた。
モデル別販売ランキングでも、いくつかの驚きがあった。フォルクスワーゲン ゴルフが販売首位を維持した一方で、フォード クーガ(Kuga)が4位となり、上位10位に入った4台のSUVの中の1台となっている。新型BMW 3シリーズは127%、スズキ ヴィターラ(Vitara)は133%、スマート フォーツーは174%の販売増を記録した。
最近販売されたモデルの結果は以下の通りである:フォルクスワーゲン ティークロス(T-Cross)が11,200台;トヨタ カローラが10,800台;シトロエン C5 エアクロスが8,700台;シュコダ スカーラ(Skoda Scala)が4,800台、シュコダ カミック(Skoda Kamiq)が4,700台;マツダ CX-30 が 4,500台;セアト タラッコ(Seat Tarraco)が3,000台。