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2月 27, 2020 by Terutaka Kawamura

2019年欧州新車販売台数レポート

2019年の欧州市場は、世界市場の業績を上回り

直近12年間で最も多い販売台数を記録

 

  • 12月の土壇場での販売増により、それまで1年間続いていたマイナス傾向は覆された
  • 欧州市場は、より厳しい規制と世界的な不確実性による困難があったものの、他国の業績を上回った
  • SUVはマーケットシェアの3%を占め、同セグメントの最高記録を更新
  • 電動車の販売台数は、合計128万台となった

2019年に世界の自動車業界を襲った乱気流は、欧州の新車販売へ害を与えるほど強いものではなかった。事実、欧州27カ国での乗用車販売台数は1.1%増加しており、8%減となった中国、2%減となった米国とは対照的である。加えて、2019年は欧州が成長を5年連続して記録した年であり、販売台数が1,600万台を超えた2007年以来の最多販売記録を残した。合計して、2018年比で171,452台増となる、15,757,412台を売り上げている。

欧州27カ国販売台数推移10年間 2019年は昨年比で1.1%増

しかしながら、この好調な結果は、ほとんどが2020年の初めに施行された欧州の新しい排出規制に間に合うように、12月に販売が増えたためである。事実、201911月までの年度累計台数は、前年比で0.4%減となっていた。新規制で受け入れられない燃費の悪い車を取り換える直前の行動が、累積販売の数値をプラスへ変えたのだ。

JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「12月の結果は人為的なものであったが、11月までの間、欧州販売が安定していたことにも留意すべきだ。昨年は業界にとって楽な期間ではなかったが、欧州は困難を前に、底強さを見せた。問題は、この強さがより厳しい規制の下でも続くのかどうか、ということだ」

欧州27カ国 国別販売台数

JATOのデータから、2019年に欧州の4カ国が過去最高販売台数を記録したことが分かる。中でもポーランドは、ベルギー、デンマーク、スロバキア、ルクセンブルクを上回り、欧州で6番目に大きな市場となった。ハンガリーも2007年以来の最多台数となり、ルーマニア、クロアチアも2008年以来最高の記録、ドイツも2009年来の最多販売となった。ただし、すべての市場にとって吉報とはならず、イギリスやスペインを含む12カ国で、2018年比で販売減となった。「よい結果となったのは、部分的には消費者にとってお買い得な条件によるものと、決定的には、市場の58%を占める法人登録が4%増となったことが影響している。その法人登録の内、大部分を自社登録が占めていることも、覚えておく価値がある」とMunozは述べた。

欧州27カ国燃料タイプ別販売構成比推移 10年分

電動車は全販売の8.1%を占め、同タイプの世界新記録を樹立した。台数は2018年比で35%増となる、1,277,908台となっている。この強力な成長は、12%減を記録したディーゼル車と、わずか5%の成長となったガソリン車と対照的である。Munozは「電動車の販売が欧州市場で増えることで、世界市場での地盤も固まってきた。欧州は開発現場のハブとして重要であることに加えて、電動車の市場拡大という点でも無視できない市場である。ただ日本市場と、日本メーカーのハイブリッド車には後塵を拝しているが」と述べている。 

ピュアEVBEV)は、356,300台を売り上げ、電動車の内の28%を占めた。欧州の全乗用車においては2.3%のマーケットシェアとなり、同タイプでの過去最高記録であった。この割合を超えたのは中国市場のみであり、販売台数は米国市場よりも多い。

2019年欧州23カ国 電動車販売ランキングテスラは、電動車販売の並外れた結果を生み出した、主要なブランドである。モデル3は市場に登場して初めての年であったが、強大な結果を出し、ピュアEVの最多販売モデルとなった。同モデルは、ミッドサイズプレミアムセダンながら95,000台を売り上げ、全体販売ランキングでも51位となっている。Munozは「モデル3が、電気自動車(BEV)の最多販売モデルとなり、その他のプレミアムブランドよりも多くを売り上げたことで、欧州市場の秩序を崩壊させたことは疑いのない事実である。しかしながら、このモデルが、必ずしも多くの消費者が求めているボディタイプでない、セダンであることを考慮しなければならない。電動SUVが市場に投入され、消費者の選択肢が広がったときにこそ、この成功は公平に評価されるだろう」と述べた。2019年に輝かしい結果を残したバッテリーEVBEV)は、他にルノー ゾエ(Zoe)、BMW i3、ヒュンダイ コナ(Kona)、アウディ E-Tron、ジャガー I -Paceがある。

ハイブリッド車市場は、引き続きトヨタが大部分を占めており、レクサスと合わせれば、70%のシェアを握っている。しかしながら、86,700台のハイブリッド車とマイルドハイブリッド車を売り上げた、メルセデスベンツとランドローバーの躍進により、トヨタはシェアを落とした。

販売台数の半分以上を電動車が占めているのは、テスラとトヨタの2社のみである。次に比率が高いのは順に、ジャガー・ランドローバー、ヒュンダイ・キア、ホンダ、ニッサングループとなった。電動車の構成率は、フォルクスワーゲングループで2%、ルノーグループで3%グループPSAでは0.2%に留まる。Munozは「電動車市場が確実に伸びている一方で、量産車両の完全電動化からは、いまだ遠い位置にいる。欧州で多くを販売する自動車グループは、業界が期待していたほどの電動車構成率を達成しなかった」と述べた。

欧州27カ国のセグメント別マーケットシェア 2019年

SUVセグメントは、38%のマーケットシェアを獲得し、2019年は連続して2桁成長を記録した7年目の年となった。前年比12%増となる6,030,481台を販売したが、600万台を突破したのは初めてのことである。しかし、SUV2018年比でシェアを3.6%ポイント拡大しているのに対し、サブコンパクトカー、MPV、コンパクトカー、エグゼクティブカーは、合わせて3.6%ポイント縮小している。 

SUVは、販売台数と利益を増やす原動力であり、欧州の自動車会社にとって極めて重要である。SUVのマーケットシェアは、ほとんどをフォルクスワーゲングループが獲得しており、8.7%ポイント拡大した。そこへ続くのは、8.2%ポイント拡大したボルボ、6.5%ポイント拡大したスズキである。 フォルクスワーゲンの積極的な手法は、報われつつあると言える。2018年から37%増となる138万台を売り上げ、欧州で100万台以上のSUVを販売する唯一のメーカーとなっているからだ。

2019年全体でのメイク別、モデル別販売ランキング

スモールSUVとコンパクトSUV2桁成長となり、ルノー キャプチャー、フォルクスワーゲン ティグアンがそれぞれのセグメントで首位となった。プレミアムカテゴリーでは、BMW X1が首位となったが、2位のアウディQ33位のボルボXC40は販売台数を落としている。

SUVの継続成長は、欧州で昔から人気のある車種の台数との引き換えによって生まれている。SUVがハッチバック、セダンがMPVの売上を上回ったのは史上初のことである。Munozは「継続するSUVの成功は、欧州の自動車業界を作り変えている。その意味するところは、年々厳しさを増す排出規制へいかに向き合っていくかといった、新しい挑戦である」と説明した。

Download file: FY-2019-Europe-Reg-Release-JP.pdf