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9月 25, 2020

2020年上半期 セグメント別欧州二酸化炭素排出量レポート

SUV人気の高まりが、自動車メーカーのCO2排出量目標達成を遅らせている

JATO Dynamicsのデータから、平均二酸化炭素排出量の不都合な真実が明らかになった。SUVの需要が高まっていることにより、企業が達成する排出量と、欧州が設定した次期目標値との差が拡大しているのだ。その結果、多くの自動車会社がSUVの利益を犠牲にするか、目標を達成しないリスクをとるか、過酷な決断を強いられている。

SUVの排出量は、欧州の目標値よりも36.5 g/km多い

SUVは欧州自動車市場での主要な部分であるから、二酸化炭素排出量への影響を把握することは極めて重要である。2019年には、SUVのマーケットシェアは38%となり、10セグメントの内、4番目に排出量が多かった。スポーツカー、ラグジュアリーセダン、バンの平均値よりも少ないが、それらのシェアは合わせても欧州全体で4.5%しかない。

現在、SUVは欧州の規制値からはかけ離れた実績となっており、目標の95g/kmに対して、2019年は131.5g/kmであった。このことを踏まえると、大きな環境問題を前にして、SUVを購入することは道義に反すると考える人も多いかもしれない。

このことがジレンマを生んでいる。自動車会社にとって、SUVは売り上げを伸ばし、利益を上げるにはありがたい存在だ。しかし、その車体の大きさと重量のせいで、排出量の目標値を達成することを邪魔している。いかに収益を維持しながら、欧州規制値を達成し、罰金を避けるかが新しい挑戦になっている。

 

中国市場が著しく下降し、欧州全体とアメリカで販売が行き詰っていた昨年の時点で、自動車会社はすでに厳しさの増す状況に直面していた。このような不安定な時期に、たとえ欧州規制値を達成する必要がなかったとしても、大量生産できる工場を維持し、消費者信頼感の落ち込みと向き合うことはすでに極めて困難だ。

加えて、電動化競争が加速するにつれ、収益性を追求する闘いは激しさを増すため、自動車会社は限界まで追い込まれるだろう。この過程には膨大な費用がかかるため、遅かれ早かれ決算書に大きな影響を与え始めるのではないだろうか。

 

小さなSUVが解決策を提供する

これらの問題の潜在的な解決策としては、より小さなSUVを投入することが考えられる。より軽量で、燃費性能に優れ、多くの場合、燃料消費が多い4×4ドライブトレインを搭載していないSUVである。2019年のスモールSUVの平均二酸化炭素排出量は122.7 g/kmで、2018年から0.4 g/km増えてはいるものの、それ以外のSUVよりは依然として少ない。

 

ただ他のSUVより環境に優しいとはいえ、SUV自体が、スモールカー、コンパクトカー、ミッドサイズカーの平均値と比べればかなり多い結果となっている。理由としては、2019年には電動化された車種があまり用意されておらず、たった4モデルしか選択肢がなかったためだ。SUVセグメントの電動化率は2%に留まっており、車種の選択肢が増えないことには、消費者はガソリン車やディーゼル車を買い続けるだろう。

 

1つ確実に言えることは、規制の締め切りが近づくにつれ、自動車会社は新しいSUVを安易に発売しなくなるだろうということだ。特に、利益を上げたとしても、高額になっていく罰金によって簡単に相殺されてしまうのだから。

サブコンパクトは、2番目に低い排出量となった

Bセグメント、あるいはサブコンパクト(スーパーミニとも言われる)は、欧州では大きなセグメントだ。過去5年に渡ってマーケットシェアは縮小しているが、スモールSUVの人気のおかげで、欧州全体で多くの自動車会社にとっていまだに販売台数の鍵を握っている。

 

 

SUVの競合車ほど利益が大きいわけではないが、若い消費者に人気があり、二酸化炭素排出量も、2019年の平均値で109.1g/kmと、シティーカーに次いで2番目に低い。それでも2018年時点での106.8g/kmからは増加しているが、電動化車両を増やすなど、対抗するための努力はなされている。

 

 

ルノー ゾエ(Zoe)は、2012年12月から販売されているが、ようやくここ2年間で売上が上向いた。今では小さなピュアEV(BEV)のお手本であり、後から発表されたプジョー 208、オペル コルサ、ミニハッチのBEVのような、多くの新車たちの道を開いてきた。しかしながら、販売台数ではトヨタ ヤリス ハイブリッドがけん引しており、104,600台を売り上げ、欧州のヤリス販売の半分を占めている。

コンパクトカーも電動化技術を採用する必要がある

Cセグメントは、BセグメントとSUVに続き、欧州で3番目に人気があり、いくつかの重要なモデルはここに入っている。ゴルフ、フォーカス、オクタビアや、最近ではAクラス、A3、1シリーズは消費者の中でとても人気だ。2019年のCセグメントの平均値は114.8g/kmで、セグメント中3番目に低く、より大きなミッドサイズカー(Dセグメント)の記録した115.9 g/kmと近い結果になっている。実際、2つのセグメントのサイズと車重を比較するなら、排出量にもっと大きな差があると予想する人はいるだろう。

 

 

平均値が近づいた理由は、テスラ モデル3が投入されたためだ。排出量0であり、発売開始から市場では強い支持があった。初年で95,000台を売り上げ、BMW 3シリーズ、メルセデス Cクラス、フォルクスワーゲン パサートなどの人気車種を追い抜いて、ミッドサイズセダンとして欧州で最も売れたモデルとなった。

現時点では、コンパクトセグメントへは、テスラのライバルとなるような新しく、競争力のある機能を搭載した車種が投入されていない。ニッサン リーフ、フォルクスワーゲン e-Golf、ヒュンダイ アイオニック(Hyundai loniq)は消費者の心を動かすような機能に欠けており、ガソリン車やディーゼル車のライバルに比べて割高な設定になっている。しかしながら、新型ゴルフや、フォルクスワーゲン ID.3、プレミアムハッチバックの電動車が導入されることでこの傾向も変わりそうだ。

 

SUVがこれからも成長を続けたら、次は何が起こるか

 

もしSUVの需要がこれからも増え続けるのなら、自動車会社は極めて高額な罰金を支払うことになるだろう。過去10年に渡って売り上げを伸ばし、利益を生んできた車両の生産をやめることなど、簡単なことではない。電動化はひとつの解決策だが、短期的には、多くのブランドでいくつかのSUVを廃止することを余儀なくされるだろう。

これは排出量を減らすための1つの方法に過ぎないが、もし年末までに平均排出量を減らすための行動を取らなければ、自動車会社は多額の罰金と向き合うことになる。前例のない新型コロナウイルスの感染拡大も加わり、業界は今、欧州の規制とそれに伴う罰金の両方に、正面から向き合わなければならないのだ。

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