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2月 16, 2022 by Terutaka Kawamura

2021年欧州新車販売台数総括レポート

2021年の欧州モデルランキングでは、フォルクスワーゲン ゴルフが首位、SUVではプジョー 2008EVではテスラ モデル3が首位となった

 

  • 2020年時点で実績が既に落ちていたが、さらに7%減となった
  • 低公害車は販売台数の19%を占め、マーケットシェア新記録を達成
  • ヒュンダイキアとトヨタがパンデミック前と比較して最もシェアを拡大
  • SUVは過去最高の46%のシェアを達成
  • 販売首位はゴルフだが、全モデルの中で最大のシェア低下を記録
  • テスラ モデル3がモデル別販売ランキング17位を確保し、好調な結果を残した

 

2021年は、欧州の自動車産業にとって挑戦と変革の年として記憶されるだろう。JATO Dynamicsが収集した欧州28カ国(欧州連合の25カ国+英国+ノルウェー+スイス)のデータでは、新車販売台数は期待外れの結果となったが、危機の中で新たな注目株が出現している。

1985年以来、最低の台数を記録

昨年の新車販売台数は1,175万台で、1985年以降で最低の台数となった。半導体不足は、2020年のロックダウン政策以上に業界にダメージを与えている。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「危機に次ぐ危機は、市場の需要や販売台数にマイナスの影響を及ぼした。新型コロナウイルスの感染拡大という継続的な不確実性に加え、長引く半導体不足は、昨年自動車メーカーにとって最悪な状況を作り出したのだ」と述べた。

危機の第二波は7月に始まり、販売台数は2020年と比較して2桁の割合で減少し始めた。202112月、これらの国における販売台数は949,252台となり、202012月から22%減少し、パンデミック直前の201912月からは25%減少した。

一部の主要市場では2020年の水準を維持することができたが、JATOの分析によると、ドイツ市場が直面した困難が、欧州主要5カ国全体で見られた悪い結果の主な要因になっていることがわかる。ドイツは2020年比で台数が大幅に減少し、1985年以来最も悪い結果となった。また、オーストリアでは1984年以来、ベルギーでは1995年以来、オランダでは1980年以来、最も少ない販売台数となっている。

危機が開いたEVの扉

全体的に悪い結果ではあったが、今回の危機は低公害車にとって好機となった。Munozは「この1年の大半は、ガソリン車よりも電気自動車の方が納車までの期間が短く、政府による寛大なインセンティブのおかげで購入しやすかった」と付け加えた。

消費者の関心は、ピュアEVBEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)にますます集まっており、こうした車種は販売台数とマーケットシェアの新記録を達成することができた。2021年には、225万台が販売され、市場の19%を占めている。ディーゼル車は市場の21.7%を占めているが、2022年はEVに抜かれる可能性が高い。

ヒュンダイキアとトヨタが大きくシェアを伸ばす

昨年は多くの自動車メーカーにとって大きな挑戦の年となったが、一方で大きなチャンスを獲得したメーカーもあった。例えば、ヒュンダイキアは、競争力のあるSUVEVのモデルを幅広く展開したことで、欧州での存在感を高めることができた。この2ブランドを合わせたマーケットシェアは、2019年の6.7%から2021年には8.6%と、ほぼ2%ポイント増加している。

また、14カ国でトップ10入りを果たした新型トヨタ ヤリスが大きく貢献し、トヨタにとっても1.4%ポイントのシェア拡大となる好調な1年となった。こうした躍進にもかかわらず、テスラ、BMWグループ、フォルクスワーゲングループは、この2年間においてもけん引役を果たすことができた。

SUVが引き続き人気を集めている

販売店での在庫問題が続いているものの、欧州の消費者はハッチバック、セダン、MPVなどの伝統的な車種からSUVへの移行を続けている。こうした車種は、新しい電動化されたモデルの登場により、好調を持続している。昨年のSUVの販売台数は534万台で、2020年と比較すると11%増加し、2019年と比較すると12%減少した。これらの車のマーケットシェアは、2019年の38.2%、2020年の40.3%から、昨年は45.5%に跳ね上がった。これは欧州におけるSUVのマーケットシェアとして過去最高であり、米国で記録した52.3%との差を縮めている。

昨年販売された車の4台に1台がドイツメーカー製で、フォルクスワーゲングループが欧州のSUV販売で首位だった。2019年と比較すると、SUVの台数はわずかな減少(2%減)にとどまったのに対し、フォルクスワーゲンの最も近い競合であるステランティスは24%減少した。2019年から2021年の間にマーケットシェアを獲得したのは、実のところフォルクスワーゲンが最も多く、次いでヒュンダイキア、ダイムラーであった。一方、ステランティスは最もシェアを縮小したが、ルノーグループとニッサングループがそれに続いた。

モデル別SUVランキングでは、プジョー 20082020年に市場をけん引していたルノー キャプチャーを上回り、首位に立った。2008は、2019年から2021年にかけて、2年前に発売されていないモデルを除き、SUVの中で最も大きくシェアを伸ばした。しかし、2019年以降に2桁の成長を遂げたSUVはこのモデルだけでなく、フォルクスワーゲン T-Cross、ボルボ XC40、トヨタ RAV4、キア ニロ(Kia Niro)、ニッサン ジュークも順位を上昇させた。

フォルクスワーゲン ゴルフが再び首位に立つも、いつまで続くか

モデル別の総合ランキングでは、いくつかの大きな変動があったが、フォルクスワーゲン ゴルフが欧州で最も人気のあるモデルであることが確認された。このコンパクトカーは、生産面や社内モデル競争の激化という大きな課題に直面しながらも、僅差で首位の座を守っている。

昨年のゴルフの販売台数は205,408台で、2位のプジョー208とは1万台弱の差だった。2020年比で28%、2019年比で50%も台数が減少しており、ゴルフのライバルが急速に迫ってきていることは明らかである。ゴルフは2008年以来、欧州市場をけん引してきたが、スモール/コンパクトSUV人気の高まりと、同社他モデルの競争力が増していることが影響した。2008年時の欧州市場でのシェアは3.16%だったが、昨年は1.75%に落ち込んでいる。

ゴルフの人気が低迷しているのは、電動化モデルが用意されていないためである。より多くの消費者がEVに乗り換えようとする中、2021年に欧州で3番目に売れたBEVであるID.3を代わりに選ぶようになっている。

上昇を続けるテスラ モデル3

テスラのマーケットシェアは、2019年から2021年にかけて倍増した。昨年、ランドローバーやジープといったSUV市場の代表格であるブランドよりも多くの台数を販売している。2020年から2021年にかけては、マツダ、ミツビシを上回り、ミニを追い抜く手前まで到達した。

モデル3の成功により、テスラの台数は2018年の29,300台から昨年は168,000台近くまで急増している。モデル3は、欧州で最も売れた電気自動車であるだけでなく、モデル全体のランキングでもトップ20入りを確保した。プジョー 3008、フォルクスワーゲン ティグアン、フィアット パンダよりも多くを売り上げており、オーストリア(10位)、ドイツ(10位)、ノルウェー(1位)、スイス(1位)、英国(2位)の5カ国でトップ10入りを果たした。

 

 

メーカー、モデル別の販売データ一覧はこちらからご覧ください(英文のみ)

https://www.jato.com/wp-content/uploads/Annual-regs.pdf

Download file: 2021-Annual-Europe-Volume-Release-J.pdf