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11月 30, 2015 by Andrew Hill

フィクションから現実へ:電気自動車の革新

EV 2

世界中の人々の環境汚染に対する懸念の高まり、排ガス規制の強化、新技術への関心といった要因の全てが、既存のガソリン自動車やディーゼル自動車に対する現実的な代替手段としてのEV(electric vehicle=電気自動車)の技術的な進化を加速し、EVはより多くの人々に受け入れられるようになってきています。社会が環境問題を自らの問題として、より真剣に向き合うようになる中で、自動車インダストリー全体が、より洗練された交通手段の実現に向けてまい進しています。従って、自動車メーカーの多くが、新興メーカーともども、社会の要請に呼応するように、EVの新しいコンセプトや市販車を発表しており、そしてこれらの新しい電動車両が徐々に、世界中のマーケットにおいて人気が高まってきていることも、不思議ではないのです。

EVは、ハイブリッド自動車と並び、クリーンな交通手段として、現在インダストリーが提供できる有力な解である、と言えるでしょう。多くの自動車メーカーが、伝統的な内燃機関と新技術を組み合わせた、さまざまなタイプのハイブリッド自動車を販売しています。内燃機関という実績のある技術をベースとしていることもあり、ハイブリッド自動車は全くの新技術であるEVに比べて、はるかに速やかに消費者に受容されるようになりました。とはいえ、消費者の大部分はまだまだハイブリッド自動車に対する慎重な見方を崩していませんが、それでもハイブリッド自動車に対する需要と販売はEVを上回るペースで増加しています。EVのような新しい自動車には、例えば一回の充電で走行できる距離に限りがあるなど、新たな懸念がついてまわります。一充電走行距離の短さという問題は、消費者が最終的にEVを選択する決断をためらう主な原因となっています。

しかしながら、JATOのデータが示すのは、EVは現在、まだまだ交通手段として主流の位置を占めるには至っていないものの、多くの自動車メーカーがEVの市場投入を加速しており、EVの販売数量は着実に増加しています。実際、EVのセールスは毎年、2012年の実績のおよそ50%に相当する台数分ずつ増加しており、EVの世界登録台数は2014年に、直近のピークである20万台に達しました。

EVは未だ非常に高価で、多くの国において、実際の販売は政府の補助金に頼らざるを得ないのが実情です。EVの新車価格は、同一モデルの同程度の装備のディーゼルエンジン搭載車の新車価格と較べて、およそ50%も高くなってしまいます。しかしながら、EVはランニングコストが非常に低いので、長期保有した場合に「お得」だといえます。こうしたEV特有のランニングコストの低さも、先進国の中でもいくつかの政府が、熱心にEVの普及策を導入している要因です。特に北ヨーロッパはそうで、例えばノルウェーの場合、EVを購入する際、消費税の支払いを免除されますし、EVはバス専用レーンを走行することも許されています。こうした施策はEVの販売を後押しする効果を示していますが、それでも、EVの価格は(普通の人には手が出せないくらい)非常に高いのも事実です。また、充電インフラがまだ十分とはいえないことも、EVの潜在顧客がEV購入をためらう障壁の一つとなってしまっています。ガソリン車やディーゼル車がガソリンスタンドを必要とするように、EVも充電ステーション等を必要としますが、大抵のユーザの場合、まだまだ身近に充電スタンドを見つけるのは難しいのが実情です。

販売台数の面では、歴史的にアメリカがEVの最大市場となってきました。独自の法律にも助けられ、またシリコン・バレーで誕生する新しいテクノロジーベンチャーの存在もあり、カリフォルニア州が同国のEV市場をリードしてきました。昨年、およそ62,000台の”ピュア”EVがアメリカで販売されましたが、これは、グローバルマーケットにおけるEV販売台数のおよそ30%を占める計算になります。アメリカにおける販売の増加率は32%と、プラス成長を続けるEVのグローバルマーケットの成長率をも上回っています。そして、自動車の世界最大市場である中国が、アメリカに次いで世界第2位のEVマーケットとなっています。中国では、地場の自動車メーカーが、せっせとEVを造り続けています。意外なことに、世界第3位のEVマーケットは、有力自動車メーカーがひしめく日本やドイツではなく、ノルウェーでした。同国におけるEVのセールスはフランスをも上回って急成長し、現在、ヨーロッパにおけるEVの最大市場となっています。

大手自動車メーカーの販売したEVの台数を調べてみると、世界最大の自動車メーカーであるトヨタやフォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズなどは、EVに限っては、他のグループ、例えばルノー・日産や、いくつかの中国メーカーにリードを許しています。実際、EVテクノロジーへのコミットメントという意味において市場をリードしているのは、成熟市場のほとんどにおいて入手可能な日産リーフを手掛けるルノー・日産なのです。日産の姉妹ブランドであるルノーも、日産のEV市場におけるプレゼンスによって利益を得ていると言っていいでしょう。そして、ルノー・日産は、ルノーの新型サブコンパクトEV、ZOEの導入によって、そのEVラインナップの拡充を図っています。その他のブランドの中では、現在、モデルSという高級車しか品ぞろえが無いにも関わらず、やはりテスラは主要なプレーヤーとして名前が挙る存在です。

EVを待ち受ける未来は明るいように見えます。新しい法律、技術改良と良好な経済状況が、EVの、既存の自動車に対する現実的な代替交通手段としての評価をより高めるものと見込まれます。最近のEVをめぐるトレンドについてのフルレポートは、JATO Dynamicsから、本年11月17日から29日まで開催されるロサンゼルスモーターショーに際して、発行される予定です。

 

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